専門家として知識やスキルを提供する働き方と、事業家として仕組みや組織を動かして収益を得る働き方。どちらも「ビジネス」ですが、その性質や必要なスキルは異なります。この記事では、私の経験を踏まえて、両者の違いやメリット・デメリットをご紹介します。
自分の知識・スキルを提供する「専門家」
「専門家」とは、自分の知識やスキルを直接、顧客に提供して報酬を得る人を指します。
弁護士や税理士、行政書士、司法書士、経営コンサルタント、デザイナー、ライターなど、さまざまな分野の専門家が活躍していらっしゃいますよね。
私の場合は、編集やブランディング、ライティング、コンサルティング、講師などの仕事がこれに当たります。
特徴は
- 自分が稼働すれば収益が発生する
- 自分が動かないと収益が止まる
点ですね。
専門家型の働き方の魅力は、比較的早く収益が得られること。また、お客さまの反応を直接感じられることです。
私自身、企画や執筆、コンサルなどのお仕事で、お客さまと直接お話を伺い、胸の内を伺ったり、成果や感謝の声を受け取れたりすることに大きなやりがいを感じています。
一方で、使える時間や本人の体調不良などに、収益が左右されやすいという課題もあります。
以前は、仕事を受けすぎて「ひとりブラック」状態になるなど、自由時間がほとんど取れず、家庭生活に影響が出ることもありました。

仕組みを作って組織で稼ぐ「事業家」
「事業家」は、自分が直接サービスを提供するのではなく、「仕組み」「組織」「資本」を活用して収益を得る人です。
「自分が動いていないときも収益が生まれる仕組みを持っている」といえば分かりやすいでしょうか。
事業家には、以下のようなスキルが求められます。
- ビジネス企画力:収益モデルを考え、市場を分析し、成長戦略を作る
- 組織マネジメント力:採用や育成、業務分業
- 財務・資金管理:損益計算やキャッシュフローなどお金の計算
- マーケティング・営業:顧客獲得の仕組みやブランド戦略を立てて実行
- 法務・契約知識:契約や規約、知財、労務関連
- マインドセット:他者に任せることができる
こういうと一見、難しそうですが、その反面の「専門的な作業や自分の不得意分野は、専門家に外注できる」点を活かすと、未経験者でも取り組みやすくなります。
例えば、林原商店の業務のなかでは、ホームページや書籍づくりなどの編集業務は、事業家的な働き方です。
ライターやデザイナー校正者らとのチームをつくって分業し、複数案件を同時に進めることができます。また、自分のできないことを専門家に依頼することで、成果物の質を高めています。
トライアスロンの講習イベントも、コーチのほかアシスタント、メカニックらと業務を分担し、収益を得るカタチですね。
また、個人として運営しているシェアハウスは、私の手を完全に離れてはいませんが、問い合わせや内見の対応などは管理会社にお願いしています。
こちらの特徴は、
- 自分が現場に立たなくても収益が生まれる仕組みがある
- 契約管理やチームで分業
- 初期投資やリスクは場合によって伴う
といったことです。
専門家型の仕事も、外注を含めたこうした仕組み化を意識すると、事業家的な仕組みで進めることができますね。

専門家型と事業家型のメリット・デメリット
専門家型、事業家型それぞれのスタイルには、メリットとデメリットがあります。どちらがあなた好みでしょうか?
専門家型のメリット・デメリット
メリット
- 少資本で始められる
- 専門性があればすぐに仕事ができる
- 顧客との距離が近く、成果を直接感じやすい
こうしたメリットがあったため、私は前職の編集プロダクションを家庭の事情で急遽退職したとき、まず専門家型で独立をスタートしました。
すると、すぐにデメリットの壁にぶつかりました……。
デメリット
- 自分が動かないと収益が止まる
- 収入の上限が見えやすい
- 体調やライフスタイルに収益が左右されやすい
そこで、サービスメニューを整理して価格を付けなおすなど、ブランディングに取り組んだことは何度か紹介しています。

事業家型のメリット・デメリット
一方の事業家型のメリットは以下のようなものがあります。
メリット
- 自分が動かなくても収益が発生する仕組みを作れる
- 大きなスケールで事業を展開できる
- 資産性が高く、事業承継や売却も可能
いわゆるビジネスオーナーですね。一方で難易度を生むのは以下のような事柄です。
デメリット
- 初期投資やリスクを伴う
- 人材育成や組織マネジメントの難しさがある
- 成果が出るまでに時間がかかる場合が多い
事業家型でうまくやっていくには、先に挙げたような「戦略を立てて仕組み化する力」「人と資本を動かす力」「数字とリスクを理解する力」 が必要となります。
私の体験から考えるキャリア選び
私自身は、専門家型の仕事からキャリアをスタートしました。
もともと編集者だったため、「他の専門家に外注する」という発想があり、事業家的な仕組みも取り入れやすいマインドがありました。
収入基盤を安定させつつ、事業家的な仕組みを取り入れる形を進めています。
「自分はどんな働き方で、満足感や自由を得たいのか」を考えることが、キャリア選びの第一歩です。
まずは、こんなことを考えてみましょう。
- 価値観:何を大切に働きたいか
- ライフスタイル:働き方が生活に合っているか
- 強み・スキル:自分の力で価値を提供できるか
- リスク許容度・経済条件:安定志向か挑戦志向か
そのうえで、どちらかな?と考えてみてはいかがでしょうか。
専門家型に向いている人
- 自分のスキルや知識を活かして、成果を直接出すことに喜びを感じる
- 小さくても確実に収入を得たい
- 顧客とのやり取りや現場での手応えを重視
- リスクを取りたくない/初期投資を少なく始めたい
- 自由度よりも、成果を自分の力でコントロールしたい
事業家型に向いている人
- 自分が直接動かなくても収益を生む仕組みを作ることに喜びを感じる
- 大きな目標やスケールで事業を成長させたい
- リスクや不確実性を受け入れ、長期的視点で物事を判断できる
- 人や資本使って、成果を大きくするのが得意/興味がある
- 初期投資や管理の手間をかけても、将来の自由時間や資産性を重視したい
ざっくり言うと
- 今すぐ収入を得たい。自由になるお金が少ない → 専門家型で小さく始める
- 将来的に時間と収入の自由を得たい。そこまで経済的にカツカツではない → 事業家型の仕組みを作る
という感じですね。
今すぐに事業家型の仕組みを構築するのが難しいなら、まずは自分でなんでもやってみながら勉強するのもお勧めです。外注するとき自分でやったことあるかないかでは、外注しやすさが違います。
始めに専門家型の経験を積みつつ、段階的に仕組み化やチーム分業などを取り入れていくことで、無理なく事業家的な働き方に近づくことも可能です。
反対に、専門家的なスキルがなくても、他人に依頼する資金力があるなら、専門家の協力を得てアイディアを実現することも可能です。
働き方の優劣はないー偏見に惑わされずに選択しよう
昭和的な価値観では「事業を拡大すること=偉い」とされ、専門家型の女性が「女のビジネスはおままごと」と遊び扱いされたり、専門家型の男性が自分のペースで働くと「野心がなくてだらしない」と評価されることもありました。
しかし、今では「多様なビジネススタイルがあって当たり前」という流れに変わっていることを感じます。
専門家型も事業家型も、どちらが上・下ということはなく、重要なのは「自分が満足感や自由を得られて、幸せか」です。※事業が大成功しても、健康や人間関係、家庭がボロボロだったらどうなのよ、ですよね。
性別や社会的偏見に惑わされず、自分に合ったスタイルを選ぶことが最も大切な視点です。
まとめ
- 専門家型は「自分の知識やスキルを活かして稼ぐ」働き方
- 事業家型は「仕組みや組織を活かして稼ぐ」働き方
- 向き不向きは、目標・スキル・価値観・強み・ライフスタイル・リスク許容度などで判断
- 働き方に優劣はなく、その人が満足感や自由、幸福感を得られるかが重要
というわけで、「周りからどう言われるか」や「こうしなくては」に流されることなく、自分の向き不向きや実現したい夢、理想のライフ/ワークスタイルなどをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
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