日本トライアスロン連合(JTU)が指導者養成の講習会を開いているのをご存じでしょうか。このほど、私も参加して学んできました。
指導者養成講座の概要
JTUでは、指導者養成委員会を設け、指導者を養成する講習を全国で開催しています。
詳細は、こちらのページで確認いただけます。
参加資格
指導者講習会には、参加資格があるのでご注意ください。
2022年4月1日現在、満18歳以上のJTU登録者で、次の「1)~7)」のいずれかに該当する者。
なお、講習会修了後も継続してJTU登録会員であること。
1)トライアスロン大会の完走記録保持者。
過去に完走したスタンダードディスタンスの大会(51.5km)で、参加当時の年齢を基準とする。
30歳以下(男子:2時間30分以内、女子:2時間45分以内)
31~40歳(男子:2時間45分以内、女子:3時間00分以内)
41~50歳(男子:3時間00分以内、女子:3時間15分以内)
51~60歳(男子:3時間15分以内、女子:3時間30分以内)
61歳以上(男子:完走、女子:完走)
2)ロングディスタンスの場合は、上記1)を基準に指導者養成委員会が認めた者。
3)上記記録に相当するスイム、バイク、ランの記録保持者及び3種目のいずれか2種目以上の指導者資格保持者。
4)スイム、バイク、ランのいずれかの個別種目の指導経験がある者。
5)JTUコーチングシンポジウム、JTU指導資格者研修会、JTUトライアスロン研究会に参加した者。
6)JTU加盟団体の推薦を受け、JTU指導者養成委員会が認めた者。
(加盟団体の推薦を受け、推薦理由を記載した推薦書を提出する)
7)JTU指導者養成委員会が認めた者。
*上記1)から6)のいずれにも該当しないが、受講を希望する者は、その理由と略歴等をA4用紙1枚程度の文章にまとめて提出する。自分も後進にも無理なく怪我なく楽しんでほしい!
私は、「1)トライアスロン大会の完走記録保持者。」の中で、スタンダードディスタンスの大会(51.5km)41~50歳(男子:3時間00分以内、女子:3時間15分以内)に該当します。
講習内容とスケジュール
講習内容は、以下の通りです。
1)指導者の心得/競技の歴史
2)スイム/バイク/ランの指導法
(ランニングシューズは屋外用と屋内用の2足を持参。ウェットスーツは不要)
3)コンディショニングの指導法
4)競技ルール
5)その他トライアスロンに関すること
私が参加した2023年3月京都会場では、2日間、8時くらいから18時すぎまで、びっちりと講習予定が詰まっていました。
指導者としての知識とスキルを学ぶ
受講者は私のような市民アスリートから、上田藍さんのようなトップアスリートまでさまざまでした。
当初は「私みたいな市民アスリートが来ていいのかな?」と感じていました。しかし、講師陣はまったくウェルカムなご様子で一安心。
「選手としての能力と、指導者・審判員としての力量はまた別のもの」とおっしゃり、競技者として強い人も私のような一般人も等しく「指導力」を高める内容に取り組みました。
1日目は主に座学です。トライアスロンの歴史やトレーニングの理論などを学びます。
コンディショニングの実技あり。
実際に運動したので、翌日の筋肉痛がひどかった!
また、自転車に関する講義では、タイヤやチューブ交換の効率的なやり方のアドバイスなども。
私も四苦八苦してきました(笑)。
2日目の指導実技は、受講者が指導者役と選手役を交代で行うロールプレイがほとんど。同じテーマでも、受講者それぞれが、これまでの知識や得意を活かして指導し、教え方も内容も表現の仕方もさまざまです。
今回の実技は各種目で、あらかじめ決められた内容を指導します。
ランは「ドリル指導」、バイクは「8の字走行の指導」「トランジションの指導」、スイムは「あらかじめ示された課題の中からひとつ選んで指導」でした。
講師も受講者もすごい方々ばかりで、はじめはドキドキしましたが、それぞれの得意分野や経験が異なり、それぞれが相手を尊重している空気を感じて、だんだんリラックス。
ランニングでは、私も高校のとき毎日やってたドリルで見本を示す機会をいただいきました。
まさか高校の陸上部で毎日やっていたあのドリルを48歳になって見本を示したり、指導したりすることがあるなんて、想像したこともありません。
「トロッティング」なんて単語を口にしたのは、おそらく30年くらいぶりかと思います。
スイムを教える経験は今までありませんでしたが、これまでに仲間と一緒にやったドリルを思い出して、それを指導しました。
トライアスロンの指導者としての経験はない私ですが、「指導法」となるとこれまでに経験したコーチングのコーチや講師・教師としての経験が生きることを実感。なにごとも経験は糧であることを再認識する2日間となりました。
指導力には言語化能力も必要
今回の講習で特に印象的だったのは「『指導について』学ぶ」ということです。自分の競技スキルを上げるための講習ではない、ということです。
参加者の方々には、選手・競技者として強い方、エリートの選手もいらっしゃいました。
私自身、指導者講習会は競技者としてのレベルが高い人が受けるもので、ついていけないのではないかと不安を感じていました。また受講を考えていると人に話したとき、そのようなことを言われたこともあります。
が、指導力は競技者としての力量だけではない……ということを認識しました。
例えば、自分が選手としてすごい練習経験と実績をもっていて、同じ練習を教えても、初心者や中高年もできるか…というと怪しいですもんね。
また、自分が見本を見せるために上手くなくては!と思いがちですが、上手な人に見本をしてもらってもいいんですよね。
講師から「自分が見本をして教えることにこだわると、年を取ったら何も教えられないことになるよ」と指摘され、「確かに!」と納得しました。
指導者にとって大切なのは、正しい知識を持っていること。また相手を認め、力を伸ばす声掛けができること。また、相手に合わせて「こういう人にはこう」と提案できるネタをどれだけもっているかなんだとつくづく感じた次第です。
また、同じことを伝えるにも言い方やどう表現するか。
言葉の力も、指導者の力量のうちだとつくづく感じ、言葉の力を改めて実感しました。
ちなみに、2日間の最後は筆記試験です。
テキストの持ち込みは不可で、記述式の問題に答えます。これまた、言語化が苦手な方は大変かと思います。
さらに、受講後にもレポート提出が課せられており、こちらも記述式です。
指導者たるもの、相手に伝える言語能力を磨く必要があるということなんでしょうね。
トライアスリートは「選手」「指導者」「審判員」3足の草鞋で!
それから、今回の講習会で強く心に残ったのは、トライアスリートは競技者としてだけでなく、指導者・審判員としての知識・スキルを持ち、活動することも大切だということです。
なぜなら、トライアロンは歴史の短いスポーツで、競技人口も少ない。そして競技者は比較的中高年が多い。
すると、競技を引退してから指導や審判を……としていたら、「指導者が少ない」とか「審判員が高齢者ばかり」という弊害が生じるからです。
東京ではトライアスロンスクールに通っていた私ですが、富山にUターンしたときは、トライアスロンコーチどころか、オープンウォーターが得意なスイミングコーチすら見つからず苦労しました。
また、審判員は60代以上が中心とききました。トライアロンは夏の競技なので、審判員もかなり体力的にハードです。このままでは、審判員が足りなくて大会が開催できないという事態にもなりかねません。
だから、トライアスリートは競技に参加しながらも、後進に教えたり、審判員として大会を支える側に回ったりと役割交代しながらトライアスロンに親しむことをオススメしたいと強く感じました。
私もこれまで審判員としては活動していたものの、指導については「私程度の競技者ができない」と思っていたところがあります。
しかし、「競技力や身体能力が低い私にもできることはある!」と分かったので、これからはできることには積極的に取り組んでいきます!
あなたも、指導者養成講習会や審判員講習会に参加して、選手・指導者・審判員としてトライアスロンに関わってみてはいかがでしょうか。トライアスロンを始めたい方へのコンサルもお受けいたしますよ!
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