「話すように書く」には、「話し言葉」から「書き言葉」へ「翻訳」を

 


「話せるけど、書けません」そうお悩みの方に、「文章を書くのが得意」という方からしばしばなされるアドバイスが「話すように書けばいいんですよ」。

「それができれば苦労せんわいっ!」と来た経験のある方へ、今回はそのアドバイスについて、補足、解説させていただきます。

目次

「おしゃべりしたまま書け」ではない

最初に考えたいのは、「話すように書く」とは、どういうことかということです。

はじめに申し上げておくと、話し言葉をそのまんま書いても、それは読み物としてかなり不十分なものに仕上がります。

例えば、講演や対談などの発言を聴きながら文章に起こす「テープ起こし」という仕事があります。

このテープ起こしの原稿は、発言をそのまま写し取ります。しかし、このままでは読み物としてはイマイチです。

なぜなら、「えっと」「えー」のような言葉はそのまま、思いついたままの順番、人の名前は名字だけだったり、固有名詞は略称だったり。言い切りなのか否定しているのか、ぱっと聴いたときにわかりづらい表現もあります。

テープライターの仕事にも、不要な表現をカットする段階や、書き言葉として整える段階があります。

つまり、「話すように書け」と「話したまま書け」とは違うということですね。

「話すように」の意味を確認する

では、「話すように書く」とはどういうことなのでしょうか。

サイトや書籍などを見ると、いくつかの意味が含まれていました。

その例を紹介すると……

「話し言葉で書け」

「話すように、スピーディにテンポよく書け」

「対話するように、相手の質問を想像しながら、その答えを書け」

「話すときのように、平易な表現で書け」

「話せる内容を書け」

などなど。

何をもって「話すよう」だと定義するかによって、そのオススメのノウハウも異なってきます。

「話している『情報』をその『語り口』を活かして書く」

私がオススメする「話すように書けばいい」の意図は、「当たり前のようにご存知で、普段お話になっている情報を書く」ということです。

なぜなら、大抵の専門家の方々、何か好きなものを持っている方々のお話は、お役立ち情報とネタの宝庫です。

また、お話になっているときも、誠実なお人柄が伺えたり、目がキラキラと輝いていたり、饒舌でお話がとまらなかったりと、そのご様子が魅力的な方が多いのです。

私がいう「話すように書く」には、「その語り口を伝えるように書く」というのも含まれます。

先に挙げたような方が、「ブログが書けない」「文章が苦手」とおっしゃるのを伺うと、

「さっきお話していらしたその情報を、そのお人柄そのままに書けばいいのに」

と、もったいなく感じてしまいます。

 

話せることを書けない理由

では、なぜ、知っていることを書けないのでしょうか。

「書く時間が取れない」という時間的な制約を除くと、以下のような理由があるのかと推察しています。

1,情報が間違っていないか不安

話すだけなら曖昧で済まされるところが、書くときはぼかしにくくなります。

例えば、作業を見せながら、

「この機械でガーっとやれば、すぐ完成しますよ」

と話すところを、

「この電動ミキサーの目盛りは『5』で泡立てれば、約5分で十分に泡立ちます」

とブログに書く。
すると、目盛りは「5」で正しいのか、時間は3分でなく5分なのかなど、正確な情報が求められます。

これをイチイチ確認するには、それなりに時間と手間がかかります。

2,頭が悪いと思われないか心配

文章表現が正しいか、「しっかりした」文章でないか、不安に感じられるところです。
例えば、慣用句や重複表現などを意味を間違えて使ってしまわないかと心配される方も多いようです。

また、「うまい文章が書けない」「文章が稚拙でバカだと思われまいか」と不安に思われる方もいるようです。

これが個人ブログならその人だけの問題ですが、会社やお店のブログでは責任感の強い人ほど気が引けてしまいます。

3,当たり前過ぎて、言語化を意識したことがない

専門家の方や無意識のことに対して「すごい」と言われる方に多い傾向です。

本人にとっては当たり前のことが、すごく面白いネタであったり、教えていただきたいノウハウだったりします。

情報を整理してみたり、できることを手順にまとめてみると、とても面白いコンテンツになることが多々あります。

4,語彙が少ないなど、文章表現のスキルに課題がある

使える単語が少ない、文法がよく分からない、慣用句を知らないなど。

私が英語ではスラスラかけないのと同じ理由が、母語であっても存在します。

そんなときは、使える語彙で書きましょう。

「話し言葉」を「書き言葉」を変換してまとめる

では、一方ライターは、どのように、インタビューなどの話し言葉を書き言葉にまとめるのでしょうか。その方法を例に取りながら、「話すように書く」ことを考えてみましょう。

テープ起こしの文章の例でご説明したとおり、話したままでは、書き言葉としてはとても読みにくい状態です。

そこで、講演や座談会を取材したり、インタビューから原稿を作るときは、聴いたままを書くのではなく、順番を整理したり、言い回しを整えたり、名称を正式なものにしたりといった「翻訳」をしています。

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情報を整理する

話すときは話題があちこちにいっても、なんとなくOKですが、書くときは情報を整理しないと、とても読みづらくなります。

なので、ブログなどを書くときは、何について書くのか、取り上げる事柄(テーマ)はひとつに絞り、情報を並べる順番を整理しましょう。

話題(トピック)の内容や順番は、誰かに「話すとき」を想像すると、参考になります。

まず、文章のターゲットとなる特定の相手を想像します。それから、その相手からの質問、疑問に答えるような順番、内容で書いていくと、書きやすくなります。

また、大まかな文章の枠組みについては、「起承転結」や「序・本・結」「背景・判断・行動・結果」など、自分なりの組み立ての型を持っていると、文章が読みやすいのはもちろん、執筆のスピードアップにもつながります。

正確に記述する

「話す」ときには曖昧で済ませられる情報が、「書く」ときは具体的で正確であることが求められます。

ブログやHPのコンテンツ、広報誌や記念誌に、間違ったこと、いい加減なことは掲載できないからです。

その事実が正しいか確認したり、正式名称や数値など具体的に正確な表現としたりします。

「正しい慣用句」については、自分で意味のよくわからない言葉を無理して使う必要はないと、私は考えています。そこは、「話すときのように」自分の語彙で書けばよいのです。

立派で仰々しい表現を背伸びして使う必要もありません。

ライターはその文章の目的に合わせて「中2くらいの語彙で読めるように」「小学生にも分かるように」などと指示を受けることもあります。

平易な表現(しか使えないこと)に引け目を感じることはなく、むしろ「誰にとっても理解しやすい文章」と考えてはいかがでしょうか。

一方、ご自分の語彙が一般ラインより豊かで、難解な表現も自分のものとされている場合は、そのままを活かしてそのレベルに合ったファンをつかむか、多くの読者に合わせて平易な表現をとるかなど、文章の用途と見せ方の方向性に合わせて考えましょう。

さらにレベルアップした表現を

まず「情報の整理」「正確な表現」を心がけること。
さらに、可能であれば、以下の事柄も意識すると、その人の人柄を表したり、心情まで含めて事柄をより正確に、より的確に表現した文章となることでしょう。

表現を工夫する

表情・感情をより感じさせる表現はないか、より美しい表現、もっとしっくりくる表現はないかなど、意図に合わせて文章を練ります。

たとえを用いたり、類語辞典で別の単語や表現を調べたりして、表現をレベルアップすることが可能です。

文章を研ぐ

読み返して、不要な文字を削ったり、必要な表現を補ったりします。

リズムがよくしたり、簡潔さを出したり、表現を際立たせることができます。

このあたりは時間をかけるとキリがないので、どこかでエイヤっと思い切ることが必要です。

プロに任せるのも1案

最初のお悩みで「時間がない」は除くとしましたが、実はコレがブログやHPのコンテンツなどを「話すように書けない」1番大きな問題かもしれません。

多くの方は、主となる仕事の合間でブログやホームページのコンテンツ、記念誌の文章などを執筆していらっしゃいます。

「文章は必要だ、でも時間がない!」という場合は、その手間と時間を買うつもりで、プロに任せるのもアリかと思います。

その場合は質問に答えて話すだくだけで、書き言葉にまとめてもらうことができます。

ライターとの相性もあるので、その人のブログやSNS、先の仕事などから判断してから、依頼することをオススメいたします。

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