正月に言葉を失い、それでも仕上げた卒業製作
これまでこのブログにたびたび登場してきた長女。おかげさまで大学4年生で卒業もまじかです。
建築デザインを学んだ長女の卒制は、輪島・朝市通りの裏路地に、地域課題の解決を踏まえた子供の居場所となる施設を設計すること。
何度も輪島に通って町並みの写真を撮り、地域の方々に聞き取りをし、子供たちへのワークショップを開催し(詳しくはコメント欄の記事)、自分の建物と朝市通り周辺の模型も作り、地域の皆さんへの成果報告会も予定していました。
しかし、正月の能登半島での地震と輪島朝市通りの火災……。
テレビのリアルタイム映像に言葉を失い、その後も被害の大きさに強く胸を痛めていた長女でしたが、1月末の卒業製作提出期限までやりきりました。
大作! 「輪島の朝市通りの地域課題を踏まえた子供の居場所づくり」
その後、富山大学芸術文化学部 卒業研究製作展「GEIBUN15」で、大4長女の展示を見てきました。
「自分の研究はアートではない」と、美術館ではに大学での展示を希望したそうです。
「輪島の朝市通りの地域課題を踏まえた子供の居場所づくり」は、思った以上の大作。
企画の背景や問題提起から始まり、現地の建物の調査、地域の方へのヒアリング、子供たちとのワークショップなどの記録。
それを元に提案する子どもたちの居場所の制作意図やコンセプト、建物ごとの狙い、設計の工夫などをパネルと模型で展示。
朝市通り周辺に配置して、町の2084年の姿まで想定してありました。
大4長女は中1のときに不登校で、そのとき、富山県産材で建てられた下村図書館が、自分の居場所のように感じたそう。高校生のとき訪れたローマでパンテオンに感銘を受け「ひとの集う場を作りたい」と言っていました。
そんな姿も思い出し、超胸熱の母……。
長女の研究は、富山大学芸術文化学部が優秀な卒業・修了研究を評価審査する「GEIBUN SELECTION」にも選ばれ、この秋に富山県美術館で展示されることになりました。
何度も輪島に通い、泣きながらまとめた研究が評価され、多くの方にまた見ていただけることに感謝いたします。
お招きいただき輪島のみなさんの前で発表!
さらに、大4長女が輪島で卒業研究の発表をさせていただくことになりました。
いまだ暮らしも戻られぬなか、思いがけないお申し出に胸がつまりました。「能登はやさしや土までも」を改めて実感いたします。ありがとうございます。
主催者さまから本町商店街など地域の方々へは以下のようなメッセージを発信されたとのこと。
わじまティーンラボで行う、富山大学芸術文化学部4年生の研究報告会をご紹介します。
ぜひ、本町にゆかりのある皆さまにもご参加いただきたいです。
直前の告知で申し訳ないですが、ご検討いただけましたら幸いです。
発表者:林原穂波さん 富山大学4年生
輪島市在住の萩野先生のゼミ生でもあり、卒業課題を”輪島市における子供の居場所のための仕掛け”として、1年間輪島に通い、4回にわたる子供たちとのワークショップを企画。朝市通りの小路を歩き回り、そこに住む方とお話し、一つの卒業制作を完成させました。
彼女自身も今回の震災を受けて、自分の提案するものと今の現実とのあまりにも大きな隔たりに手を動かすことができなくなったこの1ヶ月だったとのことですが、そんな中でも出来上がった設計をぜひ教えて欲しいという私たちの要望に答え、今回急遽輪島に来て卒業設計発表会を行っていただくことになりました。
彼女の卒業設計は、子供という切り口ですが、詳細な本町の街並みの模型製作やあの街並みが持っていた可能性についての調査分析が含まれています。
これからの本町を考えていく上で、今後たくさんの考え方や価値観に触れていくことになると思うのですが、その一つとして、お聴きいただけましたら嬉しいです。
そうして、当日を迎えました。私も運転手兼助手として同行しました。
多くの方にご参加いただきました。県外からお越しの方もいらっしゃったとのこと。
密集した古い町並みに空き地・空き家が点在するのは、輪島に限らずよくある光景です。
そこに子供の発達や心に配慮した空間をつくって点在させ、住民の動きや地域への愛着を生み出す長女の提案は、輪島のみならず全国に通じるものかと思います(本題は、この目的を叶える、地域の特性を生かした建築物の設計です)。
発表のあとは、朝市通り周辺の模型を囲んで、輪島のこれからについて語り合いました。
正月1日から時が止まった朝市通り
発表までの時間に「営業再開しているお店でもあったら何か買ってくるね」と散歩に出たら、そんな状況ではないことがよく分かりました……。
輪島は私が中学3年生のとき初めて1人で泊りがけ旅行した思い出の町。私の旅好きの原点といえる場です。
富山からもっとも近いリゾート的存在の能登エリアは、家族旅行でも、サイクリングでも、何度も訪れてきました。
お店が開いていればお金を使ってこよう……と歩きましたが、朝市通りは焼け跡、がれきのまま。
この日は3月ですが、正月飾りもそのままです。
火災のなかったエリアで営業しているお店を探すもこの風景。
ただ新しい施設が比較的無事で、営業されていたことに、ほっといたしました。
このような非常時にお招きくださり、飲み物や昼食をご用意いただき、温かい言葉をかけていただいたことに、感謝するばかりです。本当にありがとうございます。
帰り道でイルカの見送り
発表を終え、輪島からの帰り道、夕暮れどきの穴水町の海でイルカの群れが次々とジャンプして、私たちを見送ってくれました。
ほんと能登はいいところ。これからも娘ともども、輪島と能登半島のこれからを応援していきます。
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