しんどくなりがちな人の立場からの対策を考える『自分を責めずにはいられない人』(片田珠美著)『また「怒ってしまった」と悔いてきた僕が無敵になった理由』【読書レビュー】

目次

凹む側の傾向と対策は「離れる」以外にあるか

先日、優位に立ちたい人や攻撃的・支配的な人、カチンとくることを言う相手との付き合い方に関する書籍を読みました。

こちらの書籍では、優位に立ちたい人や攻撃的・支配的な人、カチンとくることを言う人たちの背景と心理が詳しく紹介されていました。

ここで分かったことは、こういう他人にマウントをとったり、不快にさせることで自分のプライドを守ろうとする人たちは、本人の成育歴などに問題があってそのような思考スタイルになっているため、本人が「変わりたい」と気をつけない限り外的な働きかけでこのスタイルを変えることはできない。

かわせない、スカッとする言い返しができないなら、離れるのが一番!ということでした。

では、一方のマウント取られる側、攻撃される側、カチンときてしまう、あるいは凹む側の気を付けることはないのでしょうか。

被害を受けがちな人の傾向と対策が気になりました。

というのも、起業家や経営者、新しいことを始めようとしている人やマイノリティはとやかく言われがち。

マイペースで受け流せればいいのですが、感情を乱されたり、行動が抑制される方も多くいらっしゃることをコンサルやコーチングなどでも感じていました。

そもそも、マイペースで気にせずいられれば、「受け流そう」とか「スカッと言い返そう」とか、考える必要もありませんからね。

そこで、参考になりそうな本を2冊読んでみました。

「私が悪い」「自分はダメだ」という「罪悪感」の罠

1冊目はこちら。

著者の片田珠美さんは、精神科医で臨床のほか、犯罪心理や心の病の構造分析がご専門。ここでは「自分を責めてしまう人」の分析と解決方法の提案をしています。

この「自分を責めてしまう人」とは何かうまくいかないことがあったときに「自分はダメだ」「自分が悪い」と感じがちな人のことです。

片田さんは、こうした人にはセットで、そう思わせる家族、恋人、友人、上司などがいることを指摘。

そう、先に上げたマウント取りや嫌なことを言わずにはいられない人が、身近にいるということです。

さらに、「責める人」はその身近な嫌な人以外に対しても気を使って、本心でもない「相手が喜びそうなこと」を言ったり、他人の欲望を自分がなんとか叶えようとしたりして、結果自分の感情や欲望を押し殺して過ごすことになると言います。

自分の感情や欲望を押し殺している人は、あちら側の人の大好物。

そうして、「自分を責めやすい人」は「優位に立ちたい人」から依存や支配される…という悪循環が生まれる流れになるようです。

原因探しをしても仕方ない。まずはとっさの対策「客観視」

つまり、攻撃する人も成育歴などが影響しているから外部からどうしようもないのと同様に、その人を寄せ付ける側も成育歴などでそのような思考スタイルに育ったということのようです。

過去を変えることはできないので、原因はどうしようもありません。親や周囲を責め、知らずに痛めつけられていた過去を悔いても何もかわりません。

大切なのはこれからの対策です。

この本では、まずできる対処法と、根本的な解決方法を提案しています。

まずできる対策は、書いてあった事柄に私の解釈も加えると以下のような感じです。

  • まずは客観的に状況を見つめ「自分だけに責任があるわけではない」と理解すること。これは「あきらめる(=明らかに見る)」ことでもある。
  • 「失敗」と「自分はダメ」は別問題だと理解すること。むしろ「自分はダメ」とぐずぐず思い続けても何にも変化・解決しない。被害者面はさらによくない。
  • 失敗の原因と改善点を客観的に分析すればOK
  • 他人から責められたら(←きたきた)、非難対象については改める。「自分はダメ」と沈みそうになったら、信頼できる人に話して安心しよう。ここで人格否定するような人は、離れるべきヤバイ人。

これでもうまくいかないなら、辛さの原因は自分の側にもあるようです。根本的な解決法も見てみましょう。

「罪悪感」を受け入れる

根本的な解決法として紹介されているのは、「罪悪感」を受け入れることです。

「罪悪感」のようなマイナス感情があることを認めれば、それを和らげることもでき、「罪悪感を持つより、他人の期待や要求にこたえよう」という思考に陥らず済むということです。

また、「罪悪感」は信頼できる人に話した方がいいとのこと。

ただし、「罪悪感」に苦しんでいることで自分を正当化すると口先だけで謝罪を繰り返す人になってしまい、なお周りに嫌われるので、改善を目指す姿勢とセットでないと逆効果のようです。※いますね、こういう人も……。

さらに「自分が解決できるはずなのにできなかった」という罪悪感もあるとか。

これは『もののけ姫』のアシタカを思いだしました(本人はもともと部外者なのに「すまない。何とか止めようとしたんだ…。」と謝るシーンがありますね)。

これは、「幻想的万能感」から生まれるものとのこと。

「あの人を救えなかった」とか「親の期待に応えられなかった」「私のせいであの人は不幸になった」みたいな罪悪感ですね。

ありがちなセリフですが、「幻想的万能感」は「幼児期にもつような感覚」であるとばっさり。やさしく言うと「その悪い状況は、あなたのせいじゃないですよ」ということなのでしょう。そうそう、あの状況はアシタカのせいではないと思いましたもん。

というわけで、根本的な対策をまとめると、以下の手順です。

  1. 罪悪感に気づく
  2. 何について罪悪感を覚えているか内容を詳しく分析する→書き出して言語化することがよい
  3. 罪悪感の程度(強弱)も把握する
  4. 自分がどんなことで罪悪感を持ちやすいか傾向を把握する←親から植え付けられた価値観など生育歴も影響
  5. どうして罪悪感を持ったか具体的に振り返る
  6. 周りに罪悪感を掻き立てる人がいるか確認する←被害者ぶっている人やその人といると「自分はダメ」と感じる人が怪しい
  7. その人の手法を知る→例 「わざとできないことを指摘する」「何に対してもネガティブな反応」「努力や結果を過小評価」「情につけこむ」などなど
  8. 罪悪感を持たせる人がなぜやるのか分析→「交渉を優位にしたい」「責任を逃れたい」「支配したい」「注目されたい」などなど

ここで、先述した「優位に立ちたい人~」の本にも出てきた「なぜそんなふるまいをするのか」といった背景が出てきましたね。

本書では「あの人が、この目的で、こういう手法をとってせめてくる」まで、具体的に考えさせるところがナイスです。

ここまでわかっていれば「あいつ、また来たぞ~」と防御姿勢を取りやすくなりますね。※サッカーやバスケのディフェンスの要領です。

長々書きましたが、書籍全体の要点は、以下3点と受け止めました。

  • 自分の責任は自分で取って解決・改善を図ることが必要。しかし、自分の関係ないことまで、責任を感じることはない。
  • 自分の欲望や欲求を知り尊重する。
  • 自分の「~ねばならない」を緩めて、できなかった(しなかった)自分を許す。

このように対処することで、他者からの攻撃が気にならないようになっていく…というわけですね。

感情を認めることにフォーカス

2冊目は、先に『自分を責めずにはいられない人』の後に読むと、なお理解しやすくなります。

こちらは、心理カウンセラー・加藤隆行さん著で、感情との向き合い方にフォーカスした1冊です。

「罪悪感」をもつ人は、怒ったり、イライラした自分をまた「ああ、また感情的になってしまった。こんな自分はダメだ」とさらに責めやすいんですよね……。

こちらの書籍では「怒り」などのネガティブ感情の取り扱いを中心にか書かれています。

「怒り」の背景となる「嫌悪(危険察知のサイン)」「不安(=思いだし怖い<危険察知アラーム>)」、「悲しみ(大切なものを失った)を否定」をまず解説。

現代社会では感情的であることより論理的であることが重んじられ、感情は頭で考えた論理に抑えられがちです。

しかし、こちらの書籍でも感情は抑え込んだりせずに、その感情があることを認めるよう勧めています。

認めたうえで、その怖さや悲しみの原因を客観的に考えていくと、だんだん感情が収まってくるとのことでした。

自分を大切にするのは自分

また、大きくまとめると「怒り」は「私がもっと大切にされるべきであることを分かって!」のサインであるとしています。

しかし、他人に態度を改めるよう求めるより、自分が「自分は大切にされるにふさわしい」と認めることが必要とのことです。

自尊心を持っていれば、他人に多少雑に扱われても気にならないと結論付けています。

それが正しいとすると、他人の言動で怒りっぽくなっているときは、自尊心が低下しているサインかもしれませんね。気を付けたいと思います。

ネガティブ感情を受け入れるとポジティブになる

それでは、その自尊心を上げるには、どうしたらいいのでしょうか。

興味深いと感じたことは、ネガティブ感情を「こんな風に考えてはダメ」と抑えていると、ポジティブな「楽しい」「うれしい」「これ、好きなの~!」といった感情も感じにくく麻痺していくという話です。

長年我慢を重ねてきた方に話をきくと「楽しいことなんか何もない」「やりたいことがない」とおっしゃることが多いのが気になっていましたが、そういう仕組みなのかもしれません。

ポジティブ感情は「可能性を広げ、成長を促す」のはこっち!というサインとのこと。

ポジティブ感情の「こっちがいいよ!」とネガティブ感情の「それ、怖くない?」の両方が必要で、バランスが大事ということです。

ただし、頑張るときには注意が必要です。

ネガティブ感情を源とした「怖い、苦しいから頑張る」はエネルギーが続きません。仕事や夫婦関係などでメンタル疾患に陥る方などは、こちらのパターンですよね。

反対に、「楽しい」「嬉しい」などポジティブなエネルギーは無限とのこと。「好き」で「得意」に打ち込んで、仕事にしようという私のオススメはあっていると思いました。

好きで得意なことで他人の役に立ち、収入まで得られると、自尊心は上がりますよ!

ポジティブな感情に素直にいこう

今回2つの書籍から分かるエッセンスは、楽しい、嬉しいとニコニコしていることほうが、自尊心が上がり、怒りっぽくなりにくく、他人からの攻撃も気にならなくなる…ということですね。

日本では、楽しいことを悪いことのように言いがちで、苦しがっている人を褒める風潮がありますが、そちらのほうがよくないんですよね。

嫌なことを避け、好きで楽しいことを追求すると、今まで近くにいた人(攻撃してきた人かもしれません)と衝突するかもしれません。よくある常識から外れるかもしれません。それは確かに「怖い」。

でも、その不安や恐れも受け入れて「ああ、怖いわあ」と言っていいし、「これからが楽しみ!」とニコニコすればいいんですね。

好きで楽しいことに打ち込めば、嫌な人を「受け流そう」とか「スカッと言い返そう」とか考える暇もなくなることでしょう。(だから、楽しそうに仕事をしている方々は、他人からとやかく言われても気にしてないのか~とこれまた納得)

怒って怒鳴り散らす人は「感情的」で困りますが、喜怒哀楽を素直に表現する「感情豊か」な人は素敵です。

周りに気を使ってしんどいムカつくとかばかり言わずに、感情とうまく付き合い感情豊かに、幸せに過ごしていきたいものですね!

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