企業や団体の歴史をまとめる「記念誌」や「年史」の文章には、その時代背景や判断の経緯、具体的な行動、その結果がどのように現れたのかを記述することが求められます。今回はその文章のフレームワーク「背景・判断・行動・結果」という型をご紹介します。
「背景・判断・行動・結果」で記す歴史
記念誌や年史に掲載する文章は、出来事を年表にまとめるだけでは十分ではありません。
それぞれの出来事について、「なぜそれを決めたのか」「どのように実行したのか」「その結果、何が起きたのか」といった要素を明確にしておくことで、読み手がその出来事の本質や価値を理解できるからです。
このときに役立つのが「背景・判断・行動・結果」のフレームワーク。
それぞれの要素を順序立てて記載することで、出来事を整理し、事実を記録し、その背景にある意思決定の過程や組織の考え方まで、伝えることができます。
フレームワークの基本構造
以下が「背景・判断・行動・結果」の内容です
背景 | 当時の時代背景や業界の状況、社内外の事情などを説明 |
判断 | その状況を踏まえ、関係者はどのような判断をしたか |
行動 | 判断をもとに、具体的にどのような行動を取ったか |
結果 | その行動の結果、何が起きたか。成功・失敗か |
この流れで文章を組み立てることで、ただ事実を記録するだけでなく、「なぜその決断に至ったのか」「どのようなプロセスを経たのか」「その結果、組織にどのような影響を与えたのか」といった流れが、一連のストーリー(物語)として伝わるようになります。
実際の文章作成例
実際に林原商店の10年史から、あるトピックスを取り上げてみましょう。
ここまで、10年間の年表や大きな流れをつかんできました。



例えば、2020年の”初のコピーライティングに関する自主講座開催(「非ライターのためのコピーライティング講座」)”を取り上げてみましょう。
背景
2020年から新型コロナウィルスが流行し、外出が制限された。その結果、飲食店などを中心に売り上げ低迷する事業主が増加した。その支援としてECサイト制作やSNSなどインターネットを活用して、解決を図ろうという動きが活発となった。
判断
林原商店にもHPやランディングページ制作の依頼が増加。SNS発信に力を入れる事業者が多いなか、文章作成やコンテンツ作りに苦心する経営者が多いことに気づいた。
そこで事業者には「売るための文章作成能力」や「情報発信を効率よく行うための知識」が必要であると考えた。
行動
事業主が情報発信力でコロナ問題を乗り切れるようにとの願いから、「非ライターのためのコピーライティング講座」と銘打ちセミナーを開催。
感染防止のため、少人数制とし、マスク、手の消毒など徹底したなかで行った。ランチは免疫向上を意識したメニューを用意するなどした。
毎回、個人事業主を中心とした参加者が、自身や商品・サービスのウリや魅力を発信する文章の書き方を熱心に学んだ。参加者が書いた文章をその場で添削するなどして、魅力発信の後押しをした。
結果
2020年、2021年に計6回開催し好評を博した。
このことから「文章の書き方や発信の仕方を習っていないからできない人が多い。習えばできる人は多い」と実感。「教える」仕事の重要性を再認識した。
こうした一般向けの情報発信やセールスコピー講座を行うライターや編集者は富山では珍しく、このあとのコンサルティング業務依頼の増加へとつながったと考えられる。
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……いかがでしょうか。ただ年表で1文書いたときよりも、分かりやすく、ドラマティックになったと思いませんか。
記念誌・年史で「背景・判断・行動・結果」型を使うメリット
記念誌や年史で背景・判断・行動・結果を記す効果は以下のようなものがあります。
1. 読みやすく、わかりやすい構成になる
時系列で並べるだけではなく、出来事の前後関係や因果関係を明示できるため、読者がストーリーとして理解しやすくなります。ストーリーブランディングとしても効果的です。
2. 判断や行動の理由を説明できる
特に経営判断や事業転換のエピソードでは、「なぜその決断をしたのか」という視点が重要です。このフレームワークを使えば、その意図まで明確に残すことができます。
3. 成功事例だけでなく、失敗や教訓も伝えられる
歴史には成功だけでなく、失敗や苦労の歴史もあります。失敗したエピソードも「背景・判断・行動・結果」の型に当てはめることで、失敗の原因も解説し、教訓として伝えることができますよね!
記述するときのポイント
実際に「背景・判断・行動・結果」の型で記念誌・年史をまとめる際には、以下の点を意識するとより効果的です。
- 時代背景や業界動向を丁寧に描写
当時の社会や業界の動きも解説すると、自社の活動との関連が理解しやすくなります。 - 経営判断の根拠を明確に記録
「なぜこの選択をしたのか」を言葉にする。信頼感を醸成することにつながります。 - 具体的な行動やエピソードを盛り込む
現場の声やエピソードを加えると、読み応えが増す。人物が登場することで親近感がわき、社内のブランディング(インナーブランディング)やリクルートのPRツールともなりえます。 - 結果や影響は多面的に記載
直接的な成果だけでなく、社内文化や次の事業への影響も記すことで、自社のあゆんだ軌跡が表現できます。
まとめ
記念誌や年史は、単なる出来事の記録ではなく、その企業や団体の「あゆみと意思」を未来に伝える重要なメディアです。
「背景・判断・行動・結果」というフレームワークは、その流れをわかりやすく整理し、後世に伝えるためのツールとなります。
過去の歴史を未来への財産とするために、年史や記念誌づくりをオススメします。
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