求めるのは「相手」の自由。応じるかどうかは「私」の自由。「富山県ですごいことが起きている」記事に思う富山県女性の課題

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少し前に、「いま『富山県』ですごいことが起きている」という記事が私の周りで話題になりました。その記事を読んでモヤっと感じたことを書いてみました。

デンマークで、任期中に出産・育児休業をとった30代女性大臣を取材しました
目次

すごいことは「起きている」のか

少し前、私の周りのSNS友達の間でこの記事が話題になっていました。

書かれたのは、レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長・最高投資責任者の藤野英人さん。自身が委員を務める富山成長戦略会議を取り上げ、「『富山で起きているすごいこと』をみなさんにご紹介したいと思います」と、会議の中間報告までのエピソードを取り上げています。

会議のメンバーは藤野氏の表現どおりにいうと「すごい人たち」。彼らが「すごい議論」をしているといいます。

私が文章を読んだ印象は、県外に出て活躍されている方々やすごい実績をもつ実業家の皆さまが、富山はここがダメ!とダメ出しし、「富山が日本のシリコンバレーになり得る」「富山県でIPOできるようなスター企業を育成しませんか」「この会議の委員のようなキトキト(精力的) な人材がメンターになって育成すればよいと思う」などなど、「専門的な見地からの指摘が次々繰り出されました」とのこと。

つまり、「こういうことやったらいいという」という指摘を言い合ったということですね。タイトルは「起こっている」でしたが、「まだ、すごいことは起きていない?」という印象をもち、この歌が脳内で流れました。

ただ、「ダメ出しを会議でやって、それがライブで公開される」というのは、いいですね。

こういう会議に対しては、「富山は日本のスウェーデン」などと讃えて、「県外から見ると、富山はそんなに豊かなんですね。富山の人って自分たちの良さに気づいていないなあ」とみんなでニコニコしているイメージを持っていましたから(笑)。

富山の女性は幸せか

この記事で注目は、4ページ以降の中間報告の話です。

富山県民の歴史的な努力の結果、一人当たり県民所得で全国5位、持ち家住宅率で全国2位など「豊か」であることを紹介。

ちなみに、犯罪率が低く災害の被害が少ない点も富山のよいところ。世帯の可処分所得も高く、世帯の自動車所有台数も多いなど、他県の人と話すと「林原さんってお嬢様??」と驚かれることもありました。

一方で、「一部の意欲ある若者達が県外に流出し、その一部は終生に渡り、居を富山に構えることがない。それは何故か」と「真の豊かさ=ウェルビーイング」を戦略に構えることにしたそうです。

でもね、こんなの子育てしたら、みんな理由を知っているのではないでしょうか。

娘が通っていた県立の進学校では、学校行事として東京の大学見学がありました。自由時間には外で買い物もできるんです。

当然、東京に憧れて帰ってきます。都会に出ていけとわざわざ促しているようなものだと感じていました。私にはいとこが20人くらいいますが、富山県内に今もいるのは数人です。

他方、イタリアでは地方が元気。地方に世界的に有名な企業や家族経営でも外国と取引する会社が多いそうです。

その理由をイタリア在住の方に伺ったところ、例えばボローニャの優秀な子供はボローニャ大学に進学し、ボローニャで就職か起業することが多いそうです。

就職先を選ぶときも、家(親きょうだいの住む土地の近く)から通えるかが重視されると聞きました。優秀な人材が地元に残るから、地方が元気というわけです。この話を聴いたとき、「富山とは反対だな」と思いました。

また、この中間報告で紹介されているという「20-30代の若い女性の県外流出率が全国トップクラス」であること。

その原因が「富山県の女性は、労働も家事も地域活動も全部押し付けられているうえに、社会的地位が低く押さえつけられていると言えなくない」との記述。

……これが少子化につながっていることって、ママたちや女性支援活動をしているような人たち、行政で働く方々の間ではよく知られたことではないでしょうか。

私は3人姉妹ですが、2人は県外に住んでいます。娘を3人生みましたが、2人は県外に出たいと言っています。女性の同級生の多くが県外に住んでいます。

こんな状態で女性が頑張ってたくさん子供を産んだとしても、穴の空いたバケツに水を注いでいるようなものですよね。

女性は結婚して子どもを産むべき、など決まった生き方を強要する同調圧力の高い社会、男尊女卑の文化と女性への負担のしわ寄せなど、『単に女性が全部の負担をかぶってがんばっているだけ』との声も聞く

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86619?page=5

と本文にもありました。

そうそう、「富山は日本のスウェーデン」がよく取り上げられていたとき、働くママたちの間では「スウェーデンが行政で行っている保育や家庭教育・介護や地域の見回りなどを女性が担っているだけなのに」という話になったことを思い出しました。

こういう話は「すごい人」に聴かなくても分かります笑。

この状況をつくったのは男だけか

この「女性に重い負担を強いる地域文化が、若い女性の県外流出を促し、結果的に少子化を加速化させている」という事実を知ると、一見「男性が怠けるせい」と見えがちです。

男性の読者の中には「男性が責められている」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、私はこれが「男性が加害者で、女性が被害者」「男のせい」というつもりはありません。

確かに「男性が女性に負担を求めた」とか「同調圧力がある」という背景は紛れもない事実だとは思います。

では、それを受け入れた側はどうなんだ、とも同時に思います。

誰にでも、自分の都合のいいことを要求する自由はあるんですよね。

その要求が現実のものとなるのは、「では、そうします」と受け入れる側もいるからです。

嫌なら拒否をすることもできたかもしれません。話し合ってお互いの折衷案を探すことができるかもしれません。同調圧力に反抗する人がたくさんいれば、同調圧力はその圧を失います。

要求する側は、される側が嫌がっていることに気づいていないこともあります。

日本の職場で女性がハイヒールおよびパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する運動「KuToo」が注目されたとき、「女性はああいう足の形で、ヒールが痛くなくて好きなのだと思っていた」と言っている男性もいましたよね(そんなわけがない)。

もちろん女性のなかには、経済的な事情など、立場が弱くて主張できないこと人がいるかもしれないことも理解しています。

それでも、要求するのはそっちの自由。受け入れるのはこちらの自由だと思います。※立場が弱いなら弱いなりに、弱者の戦略を模索したいものです。

私たち母親世代が「あんなこと言われた! 自分ばかりがやらされてる」と不満を持ちながらも、一時の衝突から逃げたり、「だって周りからなんて言われるか」としぶしぶと引き受けたりしてきたことや、引き受けるしか選択肢がない人を置き去りにしてきたこと、そんな富山の中高年女性の楽しそうではない様子が、娘たち世代に「県外に出て自由に、楽しく過ごしたい!」と感じさせる一因になっている。その責任を女性側も忘れてはいけないと思います。

なお、中間報告はこちらで読むことができます。(URL:https://www.pref.toyama.jp/documents/21104/kaigi_chukanhoukoku.pdf)。

報告内「変わらなくてはいけない男性社会」の項目では、「全国でも男尊女卑が強いと言われる県内の慣習を改めるべく、社会全体が変わっていかなくてはならない」あります。県が公式に男尊女卑について書いたことは確か「すごいこと」かもしれませんね。

ただ、こうした話は私が新卒だった約20年前も言われていました。令和になっても、まだ言わないといけないのですね。ため息が出ます。

もちろん中間報告がまとまったからといって何かが約束されたわけではなく、これをどれだけやり抜くかが大事です。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/86619?page=6

と本文にあるとおり、書いただけで終わらないでほしいもの。

その1歩として、私たちも「気が進まない要求はお断りする」という意識はもっていたいものです。

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