独立・起業は不安定で怖い? では「安定した仕事」はどこにあるのでしょうか

独立して仕事していると「安定していない」とよく言います。また、「将来、収入が途切れないか不安」「病気などで働けないときが不安」などと聞きます。では、どんな仕事なら安定していて、不安がないのでしょうか。

【立山の一の越山荘前にて】

目次

不安定とは変化しないこと

「不安定」とは、安定していないこと。

では、安定とはなにか? それは、変化がなく、物事が落ち着いた状態にあることです。

一般的に、就職するときなど「安定した職場に」と願うものですよね。

果たして「変化しない職場」はそんなにいいものなのか、そもそもそんなところはあるのか?と考えています。

独立・起業の「不安定」

一方、独立したり、起業したりすると、「不安定」と言われます。

不安定を「変化すること」と捉えると、それはそのとおりだと思います。

変化を「不安」と考えれば、確かに独立・起業は、不安要素の多い働き方でしょう。

では、不安のない安定した職場はどこにあるのでしょうか。

正社員は安定しているのか

よく「安定した正社員の職につきたい」のようにいいます。「安定」は「正社員」の枕詞であるかのようです。

しかし、「正社員」は安定しているのかな? と私は思います。

私は正社員になったことが3回あります。しかし、正社員になったところで「不安定」と縁を切れることはありませんがした。

周りを見ていても

「職場の風土が自分に合わなかった」

「上司や同僚にいじめられた」

「社長が実は超ブラックだった」

「給料を払ってくれない」

「不本意な部署に異動させられた」

「病気や怪我になって、働けなくなった」

「子供が不登校になって、勤められなくなった」

「夫の転勤についていかないといけない」

「介護のため」

など、仕事を続けられなくなる(=変化=不安定)人は、たくさんいました。

倒産の可能性についても、山一證券のような大企業でも突然倒産することはあります。

2018年の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)は8,235件(東京商工リサーチより)です。社長がトップ営業マンのような中小企業で、社長が突然死でもしたら、その会社の事務員さんのお仕事は安泰でしょうか。

大企業や公務員は制度がしっかりしていて不当解雇など法に触れることは少ないと思われますが、その反面、「窓際族」と言われる閑職に追いやり、居づらくして退職を申し出させる、望まない転勤を命じ続けて音を上げるの待つ…といった伝統的な退職誘導の手法も存在します。

「正社員だから安定」という意見が、いかに根拠のないものかがわかります。

では、公務員なら安定しているのでしょうか。

公務員は安定しているか

公務員は確かに給料の未払いやリストラはなさそうです。

ただ、イカれた同僚や上司は公務員にもいます。9時5時勤務とは縁遠い長時間勤務の部署も、実際のところは多いものです。

職歴として評価されにくい業務が多く、専門的なスキルが身につきにくいことから、民間企業への転職がしにくい、定年後の再就職や起業が難しいと聞いたことがあります。

公務員の業務の多くに必要な「正確な事務処理」は、AIに置き換わる可能性も高いことでしょう。

世間体や失うものの大きさを気にして離婚できないなど、「変化(不安定)しにくいリスク」も存在します。

ただ、大企業や公務員なら、病気のときもいいよね、とも聞きます。

大企業や公務員は病気になっても安心?

大企業や公務員でも組織を個人よりも優先する軍隊のような社風のところや、先に挙げた「窓際族」「転勤」いじめのような手法をとる組織では、鬱病など心の病にかかる人も少なくありません。

大企業の場合は、傷病休暇制度がしっかりしているところもあります。

手厚いとはいえ、永久に保証されているわけではありません。

公務員の休職は給与が出るため批判も多く、今後は審査がもっと厳しくなることでしょう。

「病気になっても安心」などと言ったところで、命に関わる大病にかかったり、事故で死んだら、そもそも仕事を続けることはできません。

となると、やはり「安定はどこにもない」と言って、差し支えないのではないかと感じます。

「見通しがついた人生」でいいのか

と、考えてみると「安定した」と思われている大企業と公務員のメリットは、「病気になったとき傷病給付金がもらえる」という点か?という気もいたします。

それだけなら、そのときに備えた貯金でもいいですし、民間保険でもよくないですか。

ただ傷病給付金のためだけに仕事選びを考え、仕事の自由度を狭めるのは、万人にとって果たして幸せなことなのでしょうか。

種田山頭火の俳句に

まっすぐな道でさみしい

というのがあります。

まっすぐで、行き着く先が見える。その道に誰かいるのかいないのかも見えることは「さみしい」のですね。

先が見えない不安以上に、「先が見えた人生」の方が、よほどキツイと思います。

私は今、20年前には考えもしていなかった場所で暮らし、想像もできない働き方や仕事をしています。これは良かったと感じています。

というわけで、将来の予想がつかないことを、そこまで不安がる必要はないと思うんですよ。

山の天気も、いつも晴天ばかりでは魅力半減です。

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