空間デザインフォーラム2020で「言語化」の価値と聞き方の変化を再認識

2020年2月15日、空間デザインフォーラム2020「空間デザインのフィロソフィー」で、日本のトップデザイナーのトークセッションを聴講。デザインの考え方や仕事観、聞く人の様子など、いろんな発見がありました。

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目次

建物のデザインに関わる3団体が共催する「空間デザインフォーラム2020」

この催しは、日本空間デザイン協会(DSA)、日本サインデザイン協会(SDA)、日本商環境デザイン協会(JCD)の共催です。

富山、石川で交互に毎年開催され、今年は富山で行われました。

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パネリストは以下3人のデザイナーです。

  • 丹青社のクリエイティブ・ディレクター・デザイナーの田中利岳氏
  • 乃村工藝社のクリエイティブ・ディレクター・デザイナーの大西亮氏
  • テラダデザイン一級建築事務所の建築家・デザイナー・一級建築士の平手健一氏

ウェルカムスイーツとドリンクで和やかに

会場は、富山県民会館内のD&DEPARTMENT。会費はドリンク代500円のみです。

受付では東京ばな奈キットカットとドリンク引き換えチケットが渡され、講演スタートまで、思い思いの時間を過ごします。

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私は同行した娘たちとジンジャエールで乾杯。

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ドリンクの中にはビールもあり、とてもくつろいだ雰囲気。ミュージカルやオペラの開演前のようで、ワクワクします。

受賞事例をデザイナー本人が解説

約70席は満席。司会の木村嘉秀さんの挨拶からセッションがスタートしました。

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各デザイナーが自己紹介を兼ねて、自身の手掛けた空間について、解説しました。

まずは、乃村工藝社の大西亮氏から。大西氏は、美術館などの公共施設と商業建築物との双方のデザインを手掛けた経歴をお持ちです。

神田明神文化交流館などを事例に、情報伝達とインテリアのバランスをとった空間デザインの考えかたを説明されました。

次の丹青社の田中利岳氏は、さいたま市子ども家庭総合センターや広島平和記念館資料館を事例に、利用者の視点や気持ちを考えた空間づくりについて解説。

私も訪れたことのあり、リニューアルした展示にいまひとつしっくりこなかった平和記念資料館の展示意図になるほどと納得。

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テラダデザイン一級建築事務所の平手健一氏は、建築・インテリア・家具・サインのすべてのデザインを手掛けるマルチぶり。

私や子どもたちも知っている、固いアイスクリームが食べやすいスプーン「15.0%」もテラダデザインのプロダクトだそうです。

平手氏は、日本郵政本社オフィスのサインを事例に、訪れた人の同士の会話を引き出すといったデザインの持つ力を紹介されました。デザイン意図の話なら、どれだけでも解説できると笑います。

言語化によって伝わるデザインの価値

これらのお話の中で、私が注目したのは、デザインと言葉の関係です。

「本来は」と注釈をつけながらではありますが、空間づくりにおいては、まず「コンセプトを言語化する」ことから始まり、この「言葉」をカタチにどうつなげるかが力の見せ所のよう。

そのデザインを「言葉」で言うことで、そのコンセプトやストーリー、デザインの意図に共感が産まれ、発注者や見た人にも「よいデザイン」と感じてもらえるということでした。

ただ原則が「言葉ありき」であっても、そのさきには「面白いからやってみたい」といった感覚的な発想もあり、あとからストーリーをつなげることもあるとか。

いずれにしても、デザインは言語化できて価値が伝わるということから、「言葉にできる」ことは大いなる能力であり、武器であることを再認識した次第です。

働く人、作る人。みんな同じことで悩んでいる

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質問タイムで印象的だったのは「デザインで食っていくと決めた瞬間は?」というもの。「建築やデザインは、やめていく人も多い」という共通認識からの質問です。

この質問に対して「食えていけると思ってる?」と苦笑いしながら顔を見合わせるトップデザイナーたち。

平手氏は「『食っていける』というより『やめなかった』だけ」。

大西氏は「実は、今も『食っていける』とは思っていない。20~30代の頃はいいものを見極める目は肥えていくのに、自分がいいものを作れないことが悔しく、何度もやめようと思っていた」。

田中氏は、「師事した先生がかっこよくて、建築家になりたいと考えたが、今、自分はちっともそんなふうになれていない。40代になって、やりたいこととできることが、やっとつりあってきた感覚」

とそれぞれ、「やめなかった理由」については「手掛けた建物がオープンした瞬間の喜びがモチベーション」と異口同音に語りました。

私も、ものをつくる編集者として、こうした感覚には共感するものがありました。

仕事の規模の大小に関わらず、実力の高低があっても、都会でも地方でも、自分の力不足が歯がゆかったり、完成したものを見て疲れが吹き飛ぶ思いは、みんな同じです。

ITの伸展による聞き方の変化

今回は我が家の娘を含め学生や非デザイナー、建築関係者以外の参加者も多い様子でした。

専門的な話も多く、娘たち分かるかな? と心配しましたが、娘たちはスマホやタブレットでわからない言葉や建物の事例、パネリストの実績などを確認しながら聞いていました。

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メモも、手書きではなくスマホのメモ帳です。経験や知識が足りない聞き手でも、グクって情報を補完することで、理解度が高くなることを実感しました。

スマホ禁止の学校がほとんどでしょうし、ネットにつながる時間を制限すべきといった議論もありますが、スマホ等を使った検索は正しく使えば知識・経験を補うツールになりますね。

貴重な機会を与えてくださった主催者さま、パネリストのみなさま、ありがとうございました!

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