自分自身を支えに生きる。「自己を恃(たの)む」ことのススメ。『女子新修身書』(大正10年、下田次郎著)の引用から

「〇〇がいないと生きていけない」と考えたことはありますか。誰かや何かに頼り切り、任せきりではなく、「自分自身を頼みに生きる」という生き方はいかがでしょうか。

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【女子新修身書の1ページ】

目次

頼りになるのは誰?

「夫がいないと食べていけない」「子供が心の支え」などと聞くことがあります。私は、これを良いこととは思いません。

誰かに依存して、支えられて生きるのではなく、自分を一番の頼りに生きることが、社会人として必要なことだと考えているからです。

私にこの考えをはっきり認識させてくれたのは、大正生まれで後に学校の教師となった祖母の蔵書の中で見つけた「女子新修身書」です。

大正生まれの祖母の教科書

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これは大正10年11月19日発行、高等女学校・実業学校の修身科の教科書の中の1冊です。

修身科とは、戦前にあった、今の道徳のような教科です。

昭和初期の女子向け修身と言うと、お硬くて「女は三従(幼少時は父兄に、結婚したら夫に、夫の死後は子に従え)」みたいな良妻賢母教育を連想してしまいましたが、実際にこの本を読んでみると、意外にも今にも通じるアドバイスが多数ありました。

例えば、
「外国の女性が男性の代理で立派に任務を果たせるのは、女性の体力があるからだ。日本女性も、そのように働けるよう、体力をつけるために睡眠と栄養をしっかりとろう」
とか
「我が国の女子は、意思が強固でなければならない。雷同は従順や恩雅ではなく、依頼心と無責任の現れである」

といった具合です。なんだか、キリッとしていませんか。

その文章の中に「自己を恃(たの)め」という一節があります。

頼りにするべき相手は自分

文章自体がキリリととかっこいいので、以下に引用します。

人は他人を頼む前にまず自己を頼まなければならぬ。

いついかなる所にも自分とともにあるものは自己である。

自己は最も自分に忠実な奉仕者であり、他人は自分を見捨てても自己は決して見捨てない。

日常生活において、自己はいつも自分の味方であるばかりでなく、危急存亡の場合にも最も頼るべきは自己である。

と始まります。そして……

最後まで自分のものであるのは、自己の他に何があるであろう。

自己を尊び、自己を頼むことは、一番強いものを持っていることではないか。

しかるに、女子は弱いもののように言われてはいる。

そして、女子自身の口から、女子は弱いものということを、いたって得意そうに言うものもりる。

果たしてそうしたものであろうか。

と問いかけます。

中略して、その後の文章で印象深い部分をピックアップします。

自己ほど自分の味方になってくれるものはない。

この事はどうだろうと思う時、まず自己に相談するのが最もよい。

軽率、短気、卑屈、自暴自棄の心持が萌したならば、自己に問うてその判断を求めるがよい。

すると、自己の内には自重心が目覚めて、正しい判断をしてくれるに相違ない。

「自重」は「じちょう」とよみ、自尊に近い意味ですね。自分の品性を保ち、卑下しない心です。

自重心こそが、正しい判断の源だということですね。自己肯定感、大事!

自ら重んずるものは、人もまたこれを重んずる。

自分も頼もしいものと思う時、人もまた自分を頼もしく思ってくれる。

自分を弱く見、自分を侮るとき、人は必ず同様の心で自分を迎えるものである。

自分のことを弱いと見なし、つまらないものと卑下していると、他人からもそう見られ、それにふさわしく扱われるということですね。

人を当てにする前に、まず自己を当てにせよ。

すると、自己の中には一種の力が湧いてきて、そういう境遇から自分を救い出してくれるであろう。

人を頼まなくても、自分の力でできるという信頼感がすなわち自信である。

自信は意志の強固と実力の要請から生ずる。

自信が生ずれば、先の優柔不断や意気沮喪(そそう)などが気恥ずかしくなるものである。

「自信」が「自分の力でできる」という信頼感であると定義し、自信があれば、優柔不断や気力がくだけているのが気恥ずかしくなるだろうと言います。

完全な社会は、すなわちこの独立自営の人の集団でなければならぬ。

もし子供以外に自治の能力の乏しい人、独立自営に耐えない人がいれば、その人自身はもちろん、社会もまたそれだけ損失を被らねばならぬ。

私たちは決して自己の力を微小だと見切る道理はない。

正しい自己の力ほど強大なものはないと信じて良い。

そして、この力は修養を積み試練にかけるほど、その精鋭を増すものである。

やがて私たちは、現在の家庭生活、学校生活にも増して大きい社会生活に入らなければならないが、そこでは、強大で、精鋭な自己の力を要することが、今までの比でないことを予期し、今日これからこれに備えるところがなければならぬ。

と締めくくります。

「独立自営」とは、いい言い方ですね。今なら「自立」のほうがしっくりくるかもしれません。

自立していない人がいると、本人はもちろん社会の損失とのこと。厳しい社会生活で、自立していないと本人は困るし、社会は迷惑を被る、だから自分の力をつけて、備えてね。ということなのでしょうね。

自分の力を矮小だと判断する根拠はどこにもない。だから自分を信じろと、女学生を鼓舞する内容でした。

今からでも備えたい「精鋭な自己の力」

大正から昭和戦前の女性は、こんな力強いメッセージを学校で習っていたと思うと、なんだか驚きます。

ずっと豊かで便利な時代を生きている私達の方が、何やら弱々しくなったような気がするのは気のせいでしょうか。

私がこの文章に惹かれるのは、私自身も、これまで培ってきた自分の知性とか行動力、しんどいこと乗り越えた耐性などが、今の私を支えていると、腑に落ちているからです。

「自分が頼り」というと、人に頼れない冷たい世の中のように感じるかもしれませんが、そうではありません。

「独立自営」したもの同士が、協力して相乗効果を発揮したり、相互に頼りあったりすることで、人間関係も社会もずっと豊かになっていくのだと、私は理解しています。

自分が弱いものだという認識を改め、自分が一番の頼りであることを意識して、自分の力を磨いていきましょう。

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