同じものを見ても、見えるものは違う。見る気がなければ見えない。と、杉田水脈氏の「LGBT」発言を、デンマークで同じものを見た経験から考えた

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ここのところ、杉田水脈氏の寄稿にある「LGBTは生産性が低いから税金を使って支援するべきではない」という主張が刃紋を呼んでいます。

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【デンマーク・コペンハーゲンの中にある地域・クリスチャニア。独自のルールで自治を掲げる】

目次

デンマーク視察でご一緒した杉田水脈氏

私が杉田水脈氏と出会ったのは、2016年10月に訪れた女性活躍をテーマとしたデンマーク視察でのことです。

当時の杉田氏は議員浪人中でした。明るくフレンドリーで質問するときはキリッとした、いかにも「女性政治家」という印象を受けました。

頭の回転も早く、弁も達者。聴いたことはササっと文章にまとめられるそのスピートにも驚かされました。

デンマークへの女性活躍に関する視察については、新聞にレポートを掲載。現地で移動するバスの中でも、お仕事のお電話にお忙しそう。

突っ込んだお話をする機会はありませんでしたが、同じバスに乗って同じ視察先を周りました。

【今の報道で紹介されている写真よりかわいらしい方でした】

ただ、そうしてアップされたデンマークレポートについては、後日拝見したところ、

「残念ながらというか予想通りというか、デンマークから日本が学べることはそう多くありませんでした」

とまとめておられました。

私はデンマークで見聞きしたものに、大きな衝撃を受けました。もちろん事情や文化はさまざま違いますが、日本で生きる私たちにも大いに参考になると感じていたので、レポートの結論は意外でした。

 

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ただ、私と杉田氏とでは、予備知識も国内で見聞しているものも違います。レポートを拝読し、

「同じものを見ても、前提となる価値観によって、見えるものや聞こえる内容はずいぶんと違うものだなあ」

と実感したものです。

また、海外や県外の事例などは、伝える人のフィルターが情報に大きなバイアス(偏り)をかけることを実感しました。

というわけで、こういう話は誰から聴くかがとても大事です。もっと言えば、実際に見てくるのが一番。

はからずも杉田氏のレポートの言葉と同じく

「やはり、実際に行って見てくることは大事です」

と感じたのでした。

参考

(21)デンマークに日本が学べることはそう多くありませんでしたが…

(20)「民主主義は進み、妥協するのが下手になった」…デンマークで聞いた興味深いエピソード

(19)女性の社会進出が進むデンマークへ視察に行ってきました 日本の方が恵まれていると感じたこと

「意見」によしあしはない。ただし人権侵害はNG

デンマーク視察に関しては、参考になった、あまりならなかったと意見が別れた私と杉田氏。ただ、それは悪いことではありません。一人ひとりの考えが異なるのは、当たり前のことです。

私は文章作成のご指導をする際、常々、こんなふうに申し上げております。

「『意見』そのものによしあしがあるのではなく、人の意見を鵜呑みにせず自分のアタマで考え、その根拠が示され論理性があることが大切です」

その意味では、デンマークに関しても、LGBTに対しても、杉田氏が独自の意見をもつのはなんら問題はありません。

ただ、その意見を公にするなら、実践や政策づくりなどの「行動」にするなら、例外はあると考えています。

それは、

「人権侵害はNG」

ということです。

「人権」というのは、人間が本来もっている権利のことです。人は一人ひとりがかけがえのない、尊いものであるということです。自由や平和の基礎となる考え方です。

「常識」やある文化の中で「普通であること」は、尊重するべきです。しかし、それが「人権」を脅かすものであれば、気づいたそのときに改めてしかるべきです。

例えば、「姥捨て」とか「夜這い」がかつて罪にならない文化があったとしても、今の日本では」許されません。「これがずっと普通のことなんです」と主張しても遺棄罪や強制性交等罪に問われることでしょう。

「子供を産まない人が『生産性』がない」などと差別を受けることも人権侵害です。

子供を持たない人を税金で支援するのはおかしい?

ところで「生産性」とは何をさすのでしょうか。

「子供を産むこと」が生産性でしょうか。私は子供が3人おり、労働者としてママたちが「生産性が低い」立場として差別されがちなことを知っています。

私の子供たちが税金で運営されている保育園に預けられているのは、無料で病院を受診できるのは、教育を受けられるのは、働いてさまざまな活動(つまり価値を生産)し納税する、親以外の多くの方々のおかげだと考えています。

こうした社会システムは、お互い様で成り立ちます。

子供をもたない人に「生産性がないから」と「税金をつかうべきでない」など、ありえません。障害や重病などで働けないとか、不妊で子供が持てない方などにも、同じです。

子供をもたずとも社会に対して高い生産性で貢献している方はたくさんいます。そもそも生産性の高い低いで、税金の使い道を判断してはいけません。

足を踏んでいる人は、踏んでいることにも気づかない

「私が差別していない。だから差別はない」

といった主旨の1文がありましたが、「LGBTは生産性がない」と断じているところで、十分差別的です。

人を傷つける人は傷つけていることに気づいていないことが多く、差別をしている人は差別をしていることに気づきにくいということが、よくわかります。

論理的に考えても、

「私はバック転ができる。だから40代女性でバック転できないのはおかしい」

と私が言うのと同じくらい、主観を拡大解釈していて「主張」に対する「根拠」として弱い。

さらに、政治家でありながら、世の中の理不尽を認め、自助努力で乗り越えるべし(その力をつけるのが教育とは……)というのも、どうしたものかと感じました。

その理屈が通るなら、例えば、女子の点数を一律に下げる受験の措置なども、「世の中は理不尽なものです」で片付けられてしまいそう。親戚のおばさんに言われるくらいならともかく、政治家としては信頼を損なう発言です。

ほかにも気になるところはたくさんありましたが、さまざまな意見とその問題点にについては、多くの方がご意見を発表されています。なるほどと納得するものが多くありますので、繰り返しはやめておきましょう。

デンマークで見たことは参考にならなかったのか

ところで、持論のなかで、

多様な性に対応するために、LGBT向けに自由に制服が選択できるというものです。女子向けのスラックスを採用している学校もあるようです。こうした試みも「自分が認識した性に合った制服を着るのはいいこと」として報道されています。では、トイレはどうなるのでしょうか。

 

と書いていらっしゃいました。

私はスラックス制服に賛成です。寒い時、掃除など活動的な時にはズボンのほうが理にかなっています。それを選べるようにして何が悪いのでしょうか。「女はスカートしか履いてはいけない」と決められてはいません。男女同じデザインの制服や作業着を着るシーンも、別に珍しくもありません。

さらに、トイレに関しても、大した問題ではありません。

その解決策は、デンマークで見てきたはずです。

デンマークでは、LGBTに配慮したユニバーサルトイレをよく見かけました。男女どちらでも利用できるトイレです。

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男性女性のトイレのどちらかが混んだり空いていたりするより効率的ですし、こういうトイレなら、LGBTの方々もそうでない人も同じ立場で利用できるという考えです。

フォルケホイスコーレなどの学校の寮も、男女別に分けないことが多いようでした。

デンマークまで視察にでかけたのに、杉田氏にはこうした風景が目えなかったのだろうかと残念です。

同じものを見ても、見えるものは人によって違う。すばらしいものをあっても、見る気がなければ見えない。どこに行こうと、相手から学ぶ気がなければ学べない。

杉田氏の姿勢を他山の石とし、素直な気持ちで偏見なしに周りの方々や見るもの聴いたことから学び、お伝えしていこう。そんなことを感じた寄稿文騒動です。

 

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