「見せかけの因果関係」には囚われないよう要注意! 『ルビンの壺が割れた』(宿野 かほる)【読書レビュー】

人から「面白かったよ」と勧められて小説を読みました。今回読んだ小説は、『ルビンの壺が割れた』です。

目次

編集者が「コピーが書けない」と言った話題作

今回読んだ小説は、『ルビンの壺が割れた』(宿野 かほる/新潮社/2017)です。

これは、覆面作家・宿野かほるさんのデビュー作。新潮社の編集担当が「コピーをかけない」と、発売前に全文を公開してコピーを募集したことでも話題になりました。

全部で160ページほどの短い小説です。1時間あまりで読み切ることができます。一気に読むのがオススメです。

話は「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」と50代の主人公・一馬がかつて恋人だった女性・未帆子にFacebookのメッセンジャーを送るところから始まります。

物語はこの二人の往復書簡で最後まで進み、読んでいくうちに、「?」「そういうことか」「?」「なるほどね」を繰り返しつつ、最後のオチまで一気につれて行かれます。

まるで、文字だけのしかけ絵本のように、見えているものがパラパラと変わっていく感覚は、なかなかの衝撃でした。

とはいえ、ラストは汚い言葉で終わるアンハッピー。それだけでなく、最後まで読んで「それは設定に無理があるんでは?」と「どんでん返しのためのストーリー運び」を感じる不自然な点も多々あり。釈然としない読後感でした。

こういったモヤモヤとしたツッコミを入れようがない名作小説を読みたくなってしまいました。

アドラーの「見せかけの因果関係」に囚われことの気味悪さ

とはいえ、すごいなと感じた描写はいろいろあります。

特に強く感じたことは、「自分を過去に傷つけた人たちが原因で、今自分が不幸なんだ」と囚われている人の気味の悪さです。

この囚われは、まさに、心理学者・アドラーの言う「見せかけの因果関係」でしょう。

「見せかけの因果関係」とは、「本来はなんの因果関係も無いところに、あたかも重大な因果関係があるように、自らを説明し、納得させてしまう」ことです。

この『嫌われる勇気』で知った考え方です。

「見せかけの因果関係」とは、例えば「学歴が低いから、成功できない」のような言い方です。

しかし、「学歴」と「成功」の間には、一見なにか関係がありそうだけれども、実はあまり関係がありません。低学歴で成功している人もたくさんいます。

「学歴が低いから、今からたくさん学び成功しよう」と考えることもできるわけです。

「○○だっただから△△になった(しよう)」などというとき、〇〇の価値を決めているのは、その人の主観である、ということですね。

『ルビンの壺が割れた』の一馬も、自分を襲った不幸(自分が行った悪事)の原因が、かつて付き合った恋人たちのせいだったと最後に断言します。これが、本当に気味が悪いのです。

今の不遇や行動できない理由を過去や他人のせいにするのはやめよう

私も過去の出来事を取り出して、「以前こんな風に失敗したから、今回もできないと思う」とか「うちの親がこうだったから、私もできなくて」とか「過去の失敗がトラウマになっているせいで勇気が出ない」のような言い方をすることがあると気付き、ハッとさせられました。

本当ならば「以前の失敗を生かして改善するから、今回は上手くいくと思う」といった言い方・考え方が、失敗を生かし学習する人の態度というものですよね。

というわけで、過去の出来事や他人との関わりについての意味付けは、前向きな思考と行動を促すものにしていきましょう!

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