普段、「こういう言い方はしないな」「この言葉は使いたくないな」…と考えている言い回しはありますか。私はいくつかあります。ネガティブな印象をもったり、本来の意味とずれていたり、文法的なことからだったり……そういった言い方はしっくりくるよう、言い換えるようにしています。
価値を下げているように見える言葉
日本語としておかしくなくても、その単語を使うことで、そのことの価値が低く感じられる言葉は確かにあります。例えば、
「誰にでもできる雑務です」
「雑用を外注しませんか」
「単純作業だから」
といった言い方の…「雑務」「雑用」「作業」が気になります。お金をいただきながらする仕事に「雑」はないだろうと思います。
企業の採用募集の原稿を書かせていただくときも、これらは使わないようにしているワードです。
「することが雑用くらいなら気楽でいいや」「作業なら自分みたいなものでもできるかも」という意識の方を引き寄せても、その企業のお役に立てないからです。
自分で書くならこうでしょうか。
- 雑務・雑用→こまごまとした仕事、業務
- 作業→仕事、業務
業務の多さをネガティブに表現
タスクが多いことをネガティブにぼやいたり、大変であることを自慢したりするような表現も注意しています。それを知らしめてもいいことがないからです。
バタバタ→立て込んでいる
タスクの締め切りが重なって慌ただしいなら、その立て込み具合を客観的に把握して、締め切りを先送りにできるものは先送りし、他の人に任せられることは任せるなど、適切に対応したいものです。
いつも「バタバタ」では、業務管理能力が低いと思われかねません。
とりあえず→まずは
「とりあえず」とは、十分な対処は後回しにして暫定的に対応すること。
「とりあえずやっておいて」と言われると、「そんな無計画にやみくもにやっても無駄がでそうだから、もう少し状況がはっきりしてから取り掛かったほうが、早く良い結果がえられそうだと感じます。
同じように、他の人にも「とりあえず」な業務はお願いしないようにしています。
「とりあえずビール」は、ビールを飲んでいる間に本命の飲み物を選ぶということですよね。ビールに失礼なので、決していいません笑!
忙しい→やりたいことが盛りだくさん、タスクが多い状態
「忙しい」と言っている人には「邪魔したらダメだよな」と頼みにくく、誘いにくくなり、人を遠ざけてしまいます。
私もなるべく時間にゆとりのある人間に見えるように心がけているので「お忙しそうですね」と声をかけられると、「忙しそう」に見えるかしらと、自分のブランディングを反省しています。
疲れた→疲労が溜まってきているからあと少しで休息をとる予定
これも漠然と自分の感じたままの感想を口から垂れ流すのではなく、休息が必要な限界までどれくらいか、客観的に観察しましょう。そして休息が必要なら適切にとらなくてはいけません。
そもそも、「疲れた」と言いたい状況にならならようしたいものですね。
可能性の芽をつむ表現
うちにはお金がない(貧乏だ)から無理→どうやったらできると思う?
こういう「呪い」のような表現はいろいろあります。例えば「あなたは体が弱いから無理」「学歴がないから無理」「うちの学校がらその進路は無理」などなど。
お金が十分にないという状況だとしても「どうやって設けるか?」「お金をかけずにできないか」「タイミングをずらせばできるのでは?」「どこかを倹約すればいいのでは?」「費用対効果は適切か?」「なにかで代用できないか」などなど、考えられることはたくさんあります。
「〇〇だらか無理」で片付けないようにしましょう。特に母親から子供に言うと、将来的にも悪影響が残り、いいことがありません。
前例がないからできない→初めてのことに挑戦しよう
それっていい意味ですか
今となってはポジティブな意味で使われている場合もありますが。「本来、いい意味ではない表現」というのもありますね。
こだわる→強い思い入れがある、とことん考える
「こだわる」はよく目にする表現です。「つまらないことに固執して身動きがとれない」が本来の意味。
「思い入れがある」とか「工夫をこらした」の意で使われていることは理解して見ていますが、自分では使いません。
むしろ「こだわり」を使わずに、そのいわゆる「こだわり」が伝わるよう、言葉を綴りたいと考えています。
やっさくる(富山弁で「やりまくる」の意)→確実に実行する、たくさん行動する
「~まくる」は「ずっとその動作を続ける」の意ですが、「むやみに(結果を考えずに)やる」という意味も含みます。
また、「やる」にも「目下のものに与える」「殺す」「失敗する」「性交」するなど、ちょっと俗な意味もふくまれることもあり、「やっさくる」は自分で使うには、少し抵抗があります。ちょっとやんちゃな印象をもつ言葉です。
形容詞+です
こちらは文法的なお話です。
「きれいです」「かわいいです」「美味しいです」のような表現のことです。「形容詞+です」ですね。
「美味しい。」と文が終われば問題ありませんが、問題は丁寧に言いたい時。
本来は「美味しい」のウ音便に「ございます」をつけて「美味しゅうございます。」とするか、「美味しい”お料理”です」「美味しいのです」のようにします。
ただ、「美味しゅうございます。」は普段遣いにはあんまり仰々しい。
これは日本語文法の弱点と言われてきました。
ということもあってか、昭和27年には、国語審議会が「大きいです」「小さいです」などの言い方は、簡素な形として認めてよいとしました。
ただ、「うちの猫はかわいいです」のような表現は、個人的には幼稚な感じがして、話し言葉や砕けたやりとり以外では使わないかと思います。
使う言葉がその存在を表す
「名は体を表す」ということわざは、「名前はその物や人の性質や実体をよく表すものだ」ということです。
名前だけでなく、何をどんな言葉で表現するかも、その人や組織の性質や実体をよく表すブランディングです。
使う表現、使わない表現など、意識してみてはいかがでしょうか。
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ここだけに掲載している林原りかの「自分史的自己紹介」をお届け後、言葉やブランディングで、ビジネスと人生を充実させるヒントをお伝えしています。返信もOK!