「見える化」だけでは不十分? 「名もなき家事」を家族で分担できるようになる方法

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「名もなき家事」という言葉をご存知ですか。

「皿洗い」「ゴミ出し」のように分かりやすい名前のついて家事と違い、こまごまとしたちょっとした家事のことを指します。

この「名もなき家事」の負担が、女性に偏っていることが最近注目されています。

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【片付けの後のコーヒーブレイク】

目次

「名もなき家事」は「名のある家事」をするための下準備と後始末

例えば、「夕飯を作る」という「名のある家事」を見てみましょう。

多くの人は

「夕方、台所に立ち、冷蔵庫から材料を取り出し、調理して、料理をテーブルにならべる」

ことを想像するでしょう。

しかし、「夕飯を作る」という家事には、調理そのもの以外にも、以下のようなこまごまとした下準備と後始末が存在します。

以下は我が家の例です。きっちりとなさるご家庭ならもっとたくさんあるかもしれません。

  • 食材のストックを確認して、必要なものを購入する
  • 食材の賞味期限や新鮮さ、栄養のバランスや家族の好み、彩り、その日のスケジュールに合わせた調理時間とタイミング、予算を考慮しながら、献立をつくる
  • 食洗機に入った、洗い終わった皿を食器棚に戻す
  • 食洗機の生ゴミを捨て、パッキンなどの汚れを落とす
  • 食後に皿をシンクまで運ぶ
  • 食器を食洗機にかけるものとかけられないものは分けて洗う
  • 手洗いしたものは水拭きして食器棚に戻す
  • 調理器具を洗って、拭いて、元の場所に戻す
  • ガス台周りの油はねを拭く
  • カス台の焦げ付きをこすって落とす
  • 生ゴミの水を切ってから捨てる
  • シンクや水栓の汚れを落として水滴を拭く
  • 洗剤のボトルに洗剤を補充する
  • 使い終わった調味料のボトルのラベルを剥がして、キャップとボトルは分けて、ボトルはゆすいでから、それぞれ分類して捨てる
  • 床を掃いてから水拭きする
  • 醤油さしに醤油を補充する
  • 食べ残しは小さい器やタッパーに移し、ラップをかけて冷蔵庫にしまう
  • その日、手で触れた場所、冷蔵庫の扉、調理台の扉、ゴミ箱の外側を拭く
  • テーブルを台ふきんで拭く
  • 翌朝のお米を研いで炊飯ジャーに予約炊飯セット

……あなたのお宅では、こうしたこまごまとした「名もなき家事」を誰が担当なさっていますか。多くのご家庭では、妻ばかりが担っているそうです。

共働きの妻に大きな負担「名もなき家事」

この言葉の生まれたのは、大和ハウス工業の情報発信「TRY家コラム」からと言われています。

この言葉が注目を集めたのは、同じく大和ハウス工業の意識調査で以下のような傾向が明らかになったからでした。

  • 「名もなき家事」を担っているのが主に女性
  • 男性のほうはその存在に気づいていないことが多い
  • 気づいていても「自分がやることではない」と考えている

また、この問題がクローズアップされるようになってから、

  • 「名もなき家事」をやっていることに、気づかれない。感謝されないと女性は感じている
  • 男性は「名のある家事」をやっているだけで、本人はやっている気になり、周囲からは「カジダン」ともてはやされる

…といった風潮がある、という指摘もされるようになりました。

「ワンオペ育児」というワーキングマザーが家事育児を一手に担い疲弊している状況が問題視されたこともあり、「名もなき家事」の負担の偏りも注目されています。

かつては、「家事を妻が担う、経済的な責任は夫が担う」という役割分担でうまくいっていました。

しかし、共働きでは、妻も経済的負担を担うようになったのに、夫の家事負担は? という疑問が生まれているのでしょう。

「名のある家事」を男性も担うようになったからこそ出てきた新たな課題ではあります。

が、共働きが増えているこの時代も「名もなき家事」を「母」や「妻」ひとりが担わねばならないのでしょうか。

そうだとしたら、「母」や「妻」には、時間がいくらあっても足りません。

「見える化」だけでは、女性の負担をなお増やしはしないか

ここでよく提案される解決策が、家事の「見える化」です。

  • 「チェックリストやマニュアルを作り、夫と確認して、得意なほうを分担しましょう」
  • 「ちょっとでもやってくれたら褒めましょう」

などという提案を見かけます。

ここで感じるのは、

  • 誰がそのチェックリストやマニュアルを作るのか
  • その時点で大抵は妻のほうがいろんな家事が得意なので、結局妻がやるのでは
  • 妻がやってるも感謝されないのに、夫がやったら褒めなきゃいけないのか

という疑問です。

職場での業務を思い出してください。スキルが低かったり経験の浅い人に対して、仕事をお膳立てしたり、マニュアルを用意し、やる気を下げないように褒めて過ごすのは、けっこう手間と時間と気遣いを必要とする業務です。

それを家庭で妻が夫や家族に対してやる…というのは、妻の側に

「夫や家族が家事に参加しやすいよう準備し、時間どおりに終わるよう監督し、モチベーションが下がらないよう気をつけて声がけし、スキルが足りないところややり残しをチェックしてはフォローする」

という新たな家事が増えることになります。そこまで妻が準備してあげないといけないものですかね。こちらが何もしなくても、自分でできてこそ、戦力となり周りが楽になるのではないでしょうか。

「家事」は「きめ細やかな気配り」ではなく「スキル」

冒頭に挙げた「夕飯を作る」に前後する「名もなき家事」は、こまごまとしたお膳立てとフォローです。

こうした家事の存在に、夫の側が気づいていない場合も多いようです。

私も大学生で一人暮らしを始めたときには、台所のガス台やシンクがすごく汚れることに驚きました。実家では母が気づかぬうちに掃除してくれていたため、使えばけっこう汚れることにすら気づいていませんでした。

夫も、結婚するまで一人暮らし未経験でした。トイレや台所もお風呂も、親が掃除してくれ、靴は親が揃えてくれますし、部屋が汚れてきたら親がときどき掃除機をかけてくれました。食材は親が買って補充していますし、食事も基本的に親が作っておいてくれます。

こういう環境で大人になるまで過ごせば「名もなき家事」どころか「家事」も意識することが少なくなってしまいます。

では、その後、妻のほうが「名もなき家事」に気づいて手を動かすようになるのに、夫が気付かないままなことが多いのはなぜでしょうか。

「女性はきめ細やかな配慮ができるから」
とか
「男なんで、気が回らなくて」
というのは、的はずれな指摘です。

料理人や職人さん、営業マンや管理職の方々などなど、「女性以上に」といえるほど、きめ細やかな感性と心配りで活躍されている方は男性にもたくさんいらっしゃいますよね。

私の場合は、自分が「家族ケア最後の砦」と考えていたことが大きいと思います。

そこで、家事の効率化に関する本やテレビ番組で情報を得ては試すことで、「名もなき家事」への対応力をつけてきました。料理や掃除や片付け、家事全般に関する本は、100冊や200冊は読んできたのではないでしょうか。(夫は「3冊くらいかなあ」とのこと)

その経験から感じることは、「家事」は「女性らしいきめ細やかな心配り」で行うものではなく、学習と練習で身につく「スキル」の積み重ねだということです。

つまり、家事に関していえば「できない」「気付かない」という人は、「スキルをつける」気がないか、その気が少しはあっても「時間がない」とかなんとかで、学習と練習が足りないかのいずれかだと考えています。

「誰かがやってくれるからやらない」を乗り越える

「スキル」とはいうものの、家事の中でも特に「名もなき家事」と呼ばれる家事は、その作業そのものは特別高い技術がなくてもできることばかりです。

醤油さしにお醤油を補うのも、トイレットペーパーの買い出しも、シンク磨きも、必要なことは大抵の人が分かっています(見えている)。また、実行する技術も、ほとんどの人がお持ちでしょう。

それでは、なぜ、「名もなき家事」が妻の方に集中するのでしょうか。

それは放っておけば家の中にいるこびとがやってくれるということがないにも関わらず
「自分がやらなくても、誰か(まあ、妻ですね)がやってくれる」
という意識があるからです。

つまり「やる気がない」……。

それどころか
「妻はこまごまとした家事が好きだからやっている」
と考えていることまであります(私は、夫に言われたことがあります 苦笑)。

もちろん、「いや、やりたいんだ。でも、時間がないんだ」という反論もあるでしょう。しかし、妻は「暇だから」という理由で、「名もなき家事」をひとりで担うのでしょうか。「時間がない」とは言わせてもらえないのです。

家族がこんな意識だと、妻は外野をひとりきりで守るセンターのような状態になってしまいます。内野には、ファーストにもセカンドにも、夫や家族がグローブをはめて立っていますが、取れるボールも手を出しません。外野の妻がひとり、走り回っているような状況です。

家族は課題を一緒に解決するためのチーム

しかし、家族全員がチームとして周りの状況を見て、取りこぼしのないよう「自分のやること」を認識していたら、状況はどうなるでしょうか。

例えば合宿に参加したりシェアハウスの住人だったりとチームの一員になって生活するような状況です。

すると、普段は「名もなき家事」に「気付かない」というひとであっても、皆さん集団の一員として、こまごまとした雑事も担当するのではないでしょうか。

それは「自分ごと」と捉えて「やろう」と動くからです。

また、普段の家事はやらなくても、キャンプになれば、チマチマと道具を用意したり、買い出しもしてくれたりする方もいます。

これはその事柄を「自分のやること(やりたいこと)」だと認識して、そのために何をするべきかを調べて実行するからです。

そんな風な認識があれば、現時点でスキルが低いとかやり方が分からなかったとしても、自分で調べて、自分からやりますよね。

つまり、「名もなき家事」といわれる家事も、家族全員が
「チームの一員として、自分もやる」
という認識をもち、分担する。

それが、ワーキングマザーが「名もなき家事」に押しつぶされないための方法です。

では、妻や母以外の家族が「チームの一員として名もなき家事もやる」という認識は、どうやったらもってもらえるのでしょうか。

我が家の夫や子供に、家事をするようになった経緯や理由を質問し、効果があったと思われる方法をご紹介します。

1,「名もなき家事」の存在とそれをやっていることを知らせる

まずは「名もなき家事」まで含めた家事を休日などに一緒にやるようにします。

夫や子供が何をすればよいか気づいていないなら、まずは「テーブル拭いてもらえる?」「おかずの残りはタッパーに入れて」などとやることを明確にして依頼して、そうした作業が存在することを知ってもらいましょう。

我が家の場合、夫に「なぜやるようになったか」と質問したら、「りかが教えてくれるから、やんなきゃなあと思った」とのことでした。

「自分で考えて、自分で動けるようになろう」と思わないではないですが、「自分ごと」としてのやる気はあります。

まずは存在を知ることがスタートです。

2,「名もなき家事」の負担をしんどいと思っていることを知らせる

世の中には「ワックスがけがストレス発散」などという奇特な方もたまにいますが、自分が「名もなき家事をすることがストレス発散」というタイプではないことを家族に知らせましょう。

このとき愚痴になったり、怒ったりしないよう注意が必要です。中2次女は「怒鳴り散らされたら、やる気なくすよね」とのことでした。

3,互いを応援し合う家族関係を築く

シンクやガス台の掃除をきっちりやってくれる中2次女に、
「どうして家事をやってくれるようになったの?」
と質問したところ
「そりゃ、お母さんのことが大事だからだよ」
と即答でした。

「お母さんが大事→
お母さんは仕事と家事で大変そう→
自分ができる家事をやることでお母さんの負担を減らそう」
という思考らしいです。ありがたい限りです。

4,「やらなきゃいけないけど手がまわっていないこと」を情報共有。やりたい人には、下手でもまずやってもらう

夫や両親、子供たちも家事の担い手の一人として、手の空いているときに、私だけが気づいているような「名もなき家事」に取り組める状況にしていこうとしてきました。

子供たちは小さい頃、大人のような満足な家事はできません。しかし、小さいときに家事を「やりたい!」という時期がありますよね。

あのときに「無理でしょ」などとやらせないとか、ビデオを見せて気をそらしたりせず、時間がかかってもやらせてみましょう。

そのうち、子供たちの家事スキルが「やりたい」という気持ちに追いついてくると、子供たちも家事運営を担うメンバーとして、活躍してくれるようになります。

 

******

家族がチームのように「家事」という課題に協力して取り組むためには、普段から応援し合える関係を作ることが、土台になると感じます。

「名もなき家事」や自分のしんどさを家族に知ってもらうための情報発信や家族同士の密なコミュニケーションが、カギになるのではないでしょうか。

参考

和ハウス工業 共働き夫婦の「家事」に関する意識調査

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