独立・起業する人にとって悩ましい問題が「値付け」です。「高めだけとお客さまが満足してリピートしてくださる」という状態が理想的だと思います。
「自信がないから値下げ」のデメリット
起業や独立したての方の中には「経験がない」「技術に自信がない」といった理由で、価格を低めに設定しようとする方が少なくありません。
または自分で価格を決めず、相手の言い値で請け負うことにしている方も。そのほうが、考えなくていいし、交渉しなくていいし、気が楽なんですよね。
しかし、これにはデメリットがあります。
- 薄利多売になっていくため、望む収入を得るためには長時間労働が必要
- 「安いんだから仕事の質が低くてOK」となる(発注者も受ける側も)
- 質の低い仕事は、変更ややり直し、クレームなどのトラブルが多く、対応に時間をとられる
- 「安くて便利」な存在としてしか見られない
……などなど。
私も独立したてのとき、価格の決め方が分からず、価格交渉も避けたい思いから、相手の提示する価格で仕事を受けていたことがあります。あるいは、「予算がないんです」「もうからない業界なので、値引きしてください」という要望もありました。
さらに「他のライターはこのくらいが相場」ということで価格を提案されることもありました。※他人の価格との比較は、その人が家計を担わないお小遣い稼ぎだったり、別の収入源を持っていたりすることもあるので、参考程度にとどめましょう。
言い値や値引き依頼のままに価格を決めていると、「経験者が安く受けてくれる」という評判からか、私のもとには仕事の依頼が増えすぎてしまいました。
すると、休日や寝る時間がなくなってしまいました。その割に収入は低いという、ひとりブラック企業状態です。
仕事があることはありがたいものの、家族と過ごす時間や趣味を楽しむ時間は作れず睡眠不足。これでは「快適で、幸せ」とはいえない状態ですよね。
ひとりで起業した方に「値引き&薄利多売」をオススメしないのは、こうした経験からです。
高単価・高品質で高満足度。リピートと行列を目指そう
では、どのような状態が快適で幸せなのでしょうか。その答えの一つは以下のような状態かと考えます。
- 自分の仕事でお客さまに満足いただいている。
- 十分な報酬を「ありがとう」の言葉とともにいただける。
- 「前回もよかった。また頼むよ」とリピートしてくださる。
- 手一杯なら「じゃあ、待たせてもらうよ」と待っていただける。
- こちらの事情も尊重していただける。
これなら、自分の健康や私生活を維持しながら、十分な収入を得ることが可能です。
「そんな都合のいいこと無理!」と言いたくなるかもしれませんが、そんな事例は珍しくありません。
例えば、私がたまにお邪魔するお寿司やさん。
価格は安いわけではありません。ランチはコース2つだけ。食事のスタート時刻は、店が指定する2つ時間から選びます。
同じ時間から同じメニューを出すので、お店側としては効率よくサービスすることができますよね。
反対に、お客にとっては、メニューや食事時間が決められ、多少不自由です。
それでも、このお店は県内外からのお客がいつもいっぱいで、予約を希望する日にとれないこともあります。
価格が安くはなく不自由。にも関わらず、とても人気がある理由は、お客さまの満足度が高くてリピートするファンや、その評判を口コミで知った新規のお客も多いからでしょうね。
また「あの店は上質で満足度が高い人気店」というブランディング。
この状態ができれば、値引きは必要なくなり、順番を待っていただけ、広告費や情報発信の手間も最小限となります。
「十分に満足いただける価値を提供し、その価値にふさわしい額の報酬をいただく」という考え方は、一流ホテルのようなイメージです。独立・フリーランスで仕事をするときは、こうした状態をひとつの目標にしてはいかがでしょうか。
せっかく独立したのに、ひとりでブラック企業にならないよう、気をつけましょうね!
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