「判断するための情報がない」という状況はよくあるもの。そのときどきのベストの判断を下し、あとから間違いに気づいたところで軌道修正すればよいのです。
「完璧な情報収集」は不可能
何かを始める時には、情報収集が大切です。
その情報によって、成功の可能性を 見極めたり、決定的な危険を回避したりすることができます。
判断材料は、多ければ多いほど精度を増します。しかし、かといってすべての情報を集めきることは不可能です。
どこかの段階で情報を集めることをやめ、判断する段階へと移らなければなりません。
間違ったと思ったら軌道修正でOK!
ある判断をしたとして、時間が経てばさまざまな状況が変わるのが 当然です。状況が変われば、「あの時の判断は誤っていた」と気付く事もあるでしょう。
そんなときはどうしますか。
情報収集ばかりで動けない人は、失敗したと気づいた時に、後悔することを避けたいと思うのかもしれません。
しかし、失敗を完全に避けることはできません。できることは、軌道修正です。間違ったと気づいたところで、やり直せばいいのです。
判断に迷ううちに、HPV(子宮頸がん)ワクチンの対象外年齢に
先日、 私も軌道修正をしました。
というのは、HPV(子宮頸がん)ワクチンについてです。
HPV(子宮頸がん)ワクチンは、子宮頸がんなどの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染を防ぐクチンです。
子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触と考えられます。このため性交渉を経験する前の10代前半のうちに接種をすることが推奨されています。定期接種は小学6年生~高校1年生の間に3回接種するスケジュールです。
HPV(子宮頸がん)ワクチンは、2013年に定期接種となりましたが、その後副作用の可能性がマスコミで大々的に報道され、数ヶ月で「積極的勧奨の中止」となりました。
市町村からも、定期接種の対象であるお知らせもされませんでした。結果、2000~2004年生まれの女性は、定期接種の対象であることを知らされないうちに機会を逃しました。接種率は1%未満となり、今、ワクチンを受けなかった世代が子宮頸がんを発症する年代となっています。
実は我が家の長女と次女は、2001年、2003年生まれで、この未摂取世代ドンピシャです。私は親として安全性について情報収集をしましたが、素人では限りがあります。
「接種させよう」という決断に足る情報が得られないまま、無料接種の対象年齢を過ぎてしまいました。
しかしその後、富山県内の産婦人科の先生方とお話する機会がありました。
海外ではワクチンの接種が進んでいること、それにより子宮頸管が撲滅しそうな国もあること、 ウイルスの感染源である男性もワクチンを摂取することで子宮頸癌以外にもさまざまな病気が予防されていることなどを知りました。
その産婦人科医の先生は、ご自分のご子息にもワクチンを接種したとおっしゃっていました。
自費接種を決断
こうした情報を得て、「 摂取させるべきだった」と判断しました。
今からでも娘たちにワクチンを接種させようと、まずは未通知・未接種の世代への救済措置(「キャッチアップ接種」というそうです)がないか、私が住む射水市に確認しました。しかし、ないとのこと。
すでに射水市にも富山県医師会から要望は出されましたが、予算不足を理由に救済措置は取られていません。※ 本来摂取するはずだった人たちが未接種ということは、予算が余ったはずだと思いますが、どこに消えてしまったのか不思議です。
また、富山県では2020年度には県内全市町村で個別通知が再開されました。富山県議会に請願もあり、定期接種ができなかった世代への経済的な負担軽減措置と財源の確保を全会派一致で採択しています。
ということで、将来的には 救済措置が取られる可能性も0ではありませんが、そうしている間にも我が家の娘たちは 年齢を重ねていきます。
「もし、娘たちが子宮頸がんになったら、私は娘たちに顔向けできるか?」と自分に問い、自費接種することに決めました。気がついたことろで軌道修正です。
HPVワクチンの自費接種は高額!
今回、娘たちが受けたHPVワクチンは、「ガーダシル」という定期接種で受けるワクチンと同じものです。
私が通う病院で、価格は1回17,600円が3回。1人52,800円です。それが2人で10万5,600円です。
これはかなり痛い出費ですが、娘たちの命や出産できなくなる可能性と天秤にかけてどう判断するかです。(私はコロナでできない外食、行けない旅行の費用を当てたと考えることにしました)
病院の先生からは娘たちに「自費で接種させようという親御さんは珍しいのよ。お母さんに感謝してね」と声がかけられました。
間違いに気づいたら軌道修正を
少子化があらゆる産業にダメージを与える日本の大きな問題であることは、 誰もが認識するところです。我が富山県や射水市でも、出産年齢である女性の県外流出を防ごうとあれこれと対策し、その魅力をPRをしています。
それなら、若い女性たちの命と子宮を守るためのワクチンを自費負担で…というのは、まるでつじつまが合わない方針のように思います。※しつこいようですが使わなかった予算はどこに行ってしまったんでしょう。
完璧な情報収集と完璧に正しい判断は、誰にとっても難しいものです。「あの時、間違っていた」と思ったら、すみやかに軌道修正をしていきたいものですね。
参考 医報とやま 東洋経済「子宮頸がんワクチン」男も打つべき2つの理由 buzzfeed「HPVワクチン接種率を上げるには? 1%未満から7%近くまで上げた富山県の工夫」 日本産婦人科学会「宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」
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