スポーツウォッチをつけて泳げる公営プール「港区スポーツセンター」の工夫は「多様なニーズに答えよう」という姿勢から

トレーニングの管理にとっても便利なスポーツウォッチ。近年は、腕につけるだけで心拍数が測れるようになるなど技術革新も進み、ますます身近なものとなってきました。しかし、そんなスポーツウォッチが使えない場合が多いのが公共のプールです。

しかし港区には、スポーツウォッチ OKの公営プールがあるとか。どのように運営されているのかチェックしてきました。

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目次

スポーツウォッチ禁止の理由と疑問

プールで、スポーツウォッチをはじめとする腕時計が禁止されている理由は、以下のようなものがあります。

  1. 他の泳者と接触すると危険
  2. 時計が破損して破片が浮遊した場合には、安全管理上、水を全部入れ替えが必要

ただ私はこの理由には、納得できていません。現在のスポーツウォッチを想定していないル-ルのように感じるからです。

というのは、一般の時計と違って、スポーツウォッチはトレーニング効果を上げるためのトレーニング用品。

私にとっては、ライフログをとるなど、健康管理に欠かせないツールです。

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ですから、まずはメガネやピアスのような「トレーニングに必要ないもの」と同列に扱ってほしくありません。

1の理由の場合は、さらに「腕につけておけというロッカーの鍵は危なくないのか?」といった疑問が浮かびます。

また、私がよく使うプールでは、コースを借りきった時には「パドル」や足ヒレの使用がOKです。

これと同様に、接触を問題とするなら、コース借り切りのときは問題ないのでは?という気がいたします。

2の場合は、水中でつけてOKな「ゴーグル」は破損の危険がまったくないほど丈夫なのか。イナバ物置か?と疑問がつきません。

スポーツウォッチを愛用して20年以上になり、周囲に愛好者か多い私でも、ガラスを割ったという話を聞いたことがないのも、なんだか現実味を感じない原因です。

ただ、スポーツウォッチを使ったことがない人がクレームを言ってきた場合に、100%安全と言えない以上、施設はそれを受け入れるしかないのにのかなという事情も、お察しできます。

私の利用するプールでは昨年は「スポーツウォッチ使用可」となり、愛好者を喜ばせましたが、今年度に入って

「スタッフ入れ替えにつき、そんな話はきいていない」

と、またも禁止となりました。

上記のような疑問を伝えても「わかりません」「どうにもなりません」の一点張りです。

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そこで、スポーツウォッチを使っても OK という、公共のプールではどんな風にして、問題なく運営できているのか、調べてみることにしました。

スポーツウォッチ OKな港区スポーツセンターのプール

そのプールは東京都の港区にあります。JR田町駅からほど近く、港区スポーツセンターです。

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都会の真ん中にそびえるこの施設。 3階にプールがあります。

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こちらが入り口です。

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券売機で利用チケットを購入します。

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区外の住民は プール利用800円。私が普段使っているプールは330円ですからずいぶん高く感じます。

この立地での維持費を考えると仕方ないかもしれませんね。

スポーツウォッチ OK とするための施設側の工夫

サポーターは必要

入り口で確認すると、スポーツウォッチは確かにOKとのこと。

プールに入ってからスタッフに申し出て、スポーツウォッチの上にかぶせるサポーターを貸りるようにということでした。

こちらがそのサポーターです。

※プール・更衣室とも撮影は禁止のため、以下の写真はシャワーブースの個室で、他者が写らないよう扉を閉じて撮影

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普通のサポーターです。腕時計をしている手首に…

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かぶせるとこうなります。

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時計のボタンを押すときなどは、サポーターをめくって押すことになります。

もちろん押しにくいのですが、ボタンの場所はだいたい覚えているので、さほど不自由ではありません。タイムや距離は十分図れます。

厚手のサポーターですがあまりきつくはないので、泳ぎにくさを感じることはありませんでした。

スポーツウォッチはコース限定

またこちらのプールでは、スポーツウォッチをしている人の使えるコースが限定されていました。

「時計をしている人が一緒だとぶつかると危ない」

と不安がる人への対策かと思います。

以下のような片道通行の往復コース(方向転換の時は、コースロープをくぐって隣のコースに移ります)とウォーキングのコースでは、スポーツウォッチを使うことができます。

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片道通行なら、泳いでいる人同士が正面衝突したり、腕に付けた時計が他の泳者にぶつかることは少ないことでしょう。ウォーキングコースも同様です。

またこの往復のコースには、もう一つもメリットがあります。

1コースの半分を使いながら往復すると、各コースにものすごく遅い人がいると、どのコースもスピーディーには泳ぐことができず、コースがつまってしまいます。

しかし追い抜きOKのコースがあれば、ゆっくり泳いでも追い抜いてもらえるので、遅い人も安心です。

こんなコースどりは初めてみましたが、よく考えるとナイスです。発想が柔軟ですね。

多様な要望を取り入れ、共存しようという姿勢

スタッフの方に、どのような経緯でスポーツウォッチの利用が OK になったのかを伺ってみました。

すると、以下のようなお答えが返ってきました。

「当施設は、港区の交通の便の良い場所にあるということで、外国人の方を始め、いろんな方が利用されます。当然、ご要望も多種多様です。スポーツウォッチを使いたいという希望も多く、安全に配慮した上で使えるように、と今の形になったようです」

ただし、港区の全てのプールが OK というわけではなく、 港区スポーツセンター独自のローカルルールだそうです。

確かに、ほんの数時間の滞在で、外国人、親子連れ、お年寄り、車椅子の障害者、学生などなど、いろんな方が施設を利用されていました。

そうした多様性を踏まえ、技術の進歩や時代の流れにそって、みんなが共存できるように運営を工夫していらっしゃるのですね。

また、ちょっと声をかけただけのスタッフの方が、突然のめったにないであろう質問にしっかりと回答できる点にも感動。スタッフ教育のレベルの高さも嬉しくなりました(港区や体育協会等の職員の方ではなく、民間事業者の受託運営だそう)。

多様なニーズにどう運営を工夫すれば、みんながそれぞれ望むトレーニングができるのか。

スポーツウォッチがない時代にできたルールに、思考停止で前例踏襲するのではなく、施設側にはご一考いただきたいものだと感じました。

また、これは「希望者の声が多く」から始まったことにも注目です。

利用者の「こうしてほしいといい」という要望は、伝えないと伝わりません。積極的に伝えていくようにしましょう。

 

【おまけ】

プールに限らず、窓口スタッフや接客スタッフがお客の声を上役に伝えても、取り合ってもらえない組織は少なくないようです。

利用者から直接きいた声を伝えても、改善にはつなげてもらえないとかで、

「お客様アンケートに書いてもらえませんか」「ご意見箱にお願いします」

と言うしかない……という現状を聞いたことがあります。

こういう組織では、窓口の方に訴えがあったとしても、彼ら・彼女らは「私たち、なにも変えられないし、わかりません」とうつむくだけ。

「お客様の声」には改善と効率化のヒントがいっぱいなのに……ホント、色々残念です。

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