「常識」「伝統」「当たり前」って本当に? 歴史や経緯を知ると、違うものが見えてくる【「アンティーク着物万華鏡 ―大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー」展レビュー】

何かするとき、マインドブロックとなる言葉に 「常識」「伝統」「当たり前」といったものがあります。 「本当にそうなの?」と疑ってみると、また違ったものが見えてきます。
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目次

着物は自己流OKだった?!

例えば、着物について。

着物は現在、着方や着物の格などに細かいルールがあり、それが煩わしくて敬遠する人も増えています。

着物を着られるようになりたい時は、着付け教室や装道の教室に入門することが一般的です。

しかし、戦前までは普段着として親しまれていた着物。そのころは着付け方は、家庭で自然に身につくことであり、コーディネートは厳密なルールなしで、今の洋服のように自由に楽しめるものでした。

着物のルールが「教室で学ぶもの」になったのは意外に最近です。

昭和42(1967)年、日本初の着付け教室「長沼学園きもの着付教室」が誕生したことに端を発します。「着物は、教室に通わなければ着られないもの」という時代が始まりました。

教室で教えるには、たくさんのルールがあったほうが特別感も権威性も出てきます。

現在の「着物はこう着るのが正しい」という「常識」は、主にこうした教室で伝承されているルールです。

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例えば、「おはしょり」をとるようになったのは明治時代、「訪問着」は大正時代に三越が作って売り出したスタイル、「付下げ」は太平洋戦争中に生まれ昭和30年代に一般的になった着物。案外、新しい着方や種類ですよね。

実は着物は、時代やビジネスの影響で、変化し続けてきたわけです。

こういうことを知ると「伝統」とか「常識」と遮二無二こだわったり、押し付けたり、教室ルールを知らない人を「今どきの若い人は……」と責めたりすることでもないような気がしてきます。

※私自身は祖母から着付けを多少習いましたが、現在は教室で先生に教わっています。教室で教わる着付けのルールを否定するものではありません。みんな違ってみんないい、ということです。

「伝統的家庭像」にも疑い

こういうことは、他にもあります。例えば家庭観。

平安時代の結婚は、男性が女性の家に入り、女性の家で衣食住の世話をしてもらう「通い婚」が一般的でした(個人的には、このスタイルに賛成。女性が育児と仕事を両立しやすそう)。

たいていのひとが結婚するのが「当たり前」であり、「夫婦と子供が2、3人」という世帯像は、大正期以降にできたと言われています。

さらに、日本の伝統的家族といわれがちな「夫は仕事、妻は家庭」は、高度経済成長時代のサラリーマン家庭のこと。上級の武家や貴族はまだしも、庶民の女性はいつも重要な働き手でした。

「伝統的」と言われたら、「いつの伝統?」と考えるクセはつけておきたいですね。

「常識」「伝統」「当たり前」に縛られない

このように現在、私たちが「常識」「伝統」「当たり前」と思い込んでいることは、家事や育児、仕事のやり方など、さまざまなことについて、歴史を紐解けば、案外そうでもないことも多いものです。

いたずらに縛られて、行動や思考にブレーキをかけてしまわないようにしましょう。

思考停止に陥らず、自分のアタマで考えるのが、ポイントです。

アンティーク着物の展覧会で頭を柔らかく

そんなことを考えていたのは、先日、東京に出かけた際、竹久夢二美術館で展覧会「アンティーク着物万華鏡 ―大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー」を見たからです。

この展覧会では、着物が日常生活で広く着用されていた戦前の時代にフォーカス。

抒情画家たちの作品や文学の挿絵などを参考にして、着物の着付けやコーディネートや当時の着物事情を紹介していました。

その中から数点は、アンティーク着物によって再現。これがかっこいいの。

なかには、洋服や靴、帽子などと組み合わせたものもあり、現在「原宿系」と呼ばれる着物の着こなし方を彷彿とします。

隣接する弥生美術館3階では「長襦袢の魅力 ~着物の下の遊び心~」が同時開催されていました。

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現代は白や淡色、無地が主流の襦袢は、戦前は花柄、幾何学文様や動物柄など多種多様。

華やかな襦袢を大胆に見せる着こなしも一般的だったそうです

「温故知新」を実感

昔のことを知るっておもしろいものです。

頭を柔らかくして、いろんなことに取り組んでいきたいものだと思います。

なおこの展覧会に興味はあるけれど東京まではいけないという方には、展覧会の内容を書籍にまとめたものが販売されています。


アンティーク着物万華鏡: 大正〜昭和の乙女に学ぶ着こなし (らんぷの本)

参考

アンティーク着物万華鏡 ―大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー
会期:2019年7月5日(金)~9月29日(日)
会場:弥生美術館・竹久夢二美術館
住所:
・弥生美術館 文京区弥生 2-4-3
・竹久夢二美術館 文京区弥生 2-4-2
TEL:
・弥生美術館 03-3812-0012
・竹久夢二美術館 03-5689-0462
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし、7月15日(月)、8月12日(月)、9月16日(月)、9月23(月)は開館、7月16日(火)、9月17日(火)、9月23(火)休館)
入館料:一般900円、大学・高校生800円、小・中学生400円

※正確な情報はHPなどで確認してからお出かけください

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