呉・尾道で映画やアニメを思い出し「不謹慎」について考える。大和ミュージアムと尾道ラーメン【大人の修学旅行その４】【尾道市グルメ】

先日、学生時代の後輩と2泊３日のドライブ旅行に出かけました。「なんにもしない自由」と「地元グルメ」を楽しむのがテーマです。２日目は、宮島、広島市のあと、呉・尾道を通りました。

【10分の１スケールの戦艦大和】

海軍と造船の町・呉

現在、広島市、福山市に次ぐ広島県第三の都市である呉市は、海軍と造船の町として発展してきました。

そのルーツは、1889（明治22）年に艦隊の後方を統轄した機関・鎮守府（ちんじゅふ）や海軍の教育機関・海兵団がおかれたこと。

呉鎮守府には、軍隊直属の軍需工場・呉海軍工廠（こうしょう）が作られ、ここで。戦艦「大和」「長門」、航空母艦「赤城」など、今も知られる軍艦の数々が生まれました。

第二次世界大戦中は、呉は海軍の拠点となり、人口40万人超の大都市だったそうです。

現在、呉海軍工廠はジャパン マリンユナイテッド呉工場にひきつがれ、その歴史は呉市海事歴史科学館（大和ミュージアム）で紹介されています。

また、海上自衛隊の呉基地には約6,000人の自衛隊員が勤務。PR施設である海上自衛隊呉史料館（てつのくじら館）も設置されています。

こうした背景から、「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ～日本近代化の躍動を体感できるまち～」として、日本遺産に認定。呉は今も、造船と海軍・海上自衛隊の街として、観光客からの人気を集めています。

また、呉といえば、ドラマや映画の舞台にもなっていますね。映画「海猿」（2004年）や「男たちの大和/YAMATO」（2005年）。漫画から映画、ドラマにもなった「この世界の片隅で」（映画2016年）も呉が舞台です。

大和ミュージアムで当時の造船技術にふれる

大和ミュージアムの通称で知られる、呉市海事歴史科学は、明治以降の呉の歴史と造船・製鋼技術を紹介する博物館です。

正直なところ、海軍や造船に強い関心があるわけではなく、ここは同行者のおともで訪れました。でも、お付き合いで日頃見ないものを見て、新しい発見と出会えるのも、同行者のいる旅のいいところですよね。

入ると、まず迎えてくれたのが、戦艦大和10分の1スケール。

大和は、呉海軍工廠で1941（昭和16）年12月に完成した戦艦です。

当時の最先端技術でつくられた世界最大規模の戦艦でしたが、1945（昭和20）年4月7日、沖縄特攻作戦に向かう途上、アメリカの攻撃を受け沈没。乗員3,332人のうち3,056人が、大和とともになくなりました。

こちらは当時の設計図。

パソコンのない時代に、どうやって書いていたのでしょう。ものすごい精密さです。

戦艦といえばあのアニメ

大和を見て思い出すアニメといえば「宇宙戦艦ヤマト」という方も多いことでしょう。

が、私は別のアニメを思い出しておりました。

ミュージアムには、大和以外の戦艦についても紹介されています。

「長門」「赤城」「陸奥」……そう、これを見て思い出したのが、艦隊育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん」通称「艦これ」ですよ！

ご存知ない方のために説明いたしますと、軍艦が女の子（艦娘＜かんむす＞）に擬人化されています。

たとえば、大和。

画像引用元　艦隊これくしょん -艦これ- 攻略 Wiki*

このゲームから生まれたアニメもあり、人気なんですって（娘談）。

このゲーム＆アニメ、不謹慎という声も、もちろん出ております。

ただ、戦争を題材に娯楽作品をつくることがNGなら、呉でも撮影されている戦争を題材にした映画や小説『坂の上の雲』もNGですか？となります。たくさんの人が死んだことがらをエロスと絡めるなというなら、映画「タイタニック」もアカン…ということにもなりますよね。

海上自衛隊の船の一般公開イベントなどで艦に「かっこいい」しびれることは不謹慎か、とか「モデルガンをかっこいいとかひどい」という見方もあるし、萌キャラが女性差別だとか、かわいい女の子が戦うのがダメならプリキュアはどうなのよとか、いろんな見方や論点があります。

そんなことを含め「艦これ」も、若者が「戦争」を知るきっかけになってほしいなあと、大和ミュージアムの展示をみながら感じていたのでした。

ちなみに、大和ミュージアム内では、このアニメのオープニングテーマが私の脳内に流れておりました。

（↑とてもかっこいい映像です。初めてみたときは、放った弓が零戦に変わるところが特に衝撃的でした）

「艦これ」や「刀剣乱舞」など、擬人化ものは、現物をよく調べ、それに合わせて設定が細く考えられているようで、いつも関心させられます。

きっと、このミュージアムの展示も、参考にされたのだろうなあと想像をめぐらしておりました。

いつの時代も、クリエーターは偉大です。

初めての尾道ラーメン

呉を出たわれわれ一行は、今日の宿となる松山市へと向かい、途中、尾道市に立ち寄りました。

お目当ては、そう、尾道ラーメンです！

お店は後輩２が探しておいてくれました。家族旅行でいつもアテンド役のワタシとしては、この状況そのものがかなり贅沢。嬉しいです。

昼から夜まで通し営業しているということで選んだ朱華園（しゅうかえん）というお店に、16時ごろ入店しました。

この時間ならラーメンを１杯食べても、夜に風呂のあと遅めの夕飯をいただくころにはまた腹がへっているだろうという算段です。今日は１日４食です。幸せです。

と、店に入ってみると、意外に賑わっていて、私たちが座るとほとんど満席になりました。「こんな時間に、みんな何ご飯なんだろう」と不思議に思う私達。

注文は入店時に済ませ、料金は先払いです。メニューは以下の通りの少なさなので、迷うことはありません。

• 中華そば（600円
• チャーシュー麺　800円
• ワンタン　600円
• 焼きそば　800円
• 餃子4個　230円
• 餃子8個　460円

私は迷わず中華そば。初めての尾道ラーメンです。

けっこう大きめの背脂がゴロゴロ入った醤油味のラーメンです。麺は細めの平麺でした。

尾道ラーメンの特徴は、新横浜ラーメン博物館によると、以下のとおりだそう。

尾道から福山までの広島県東部に広がるラーメンスタイル。

鶏ガラで取った澄んだ醤油スープがベースだが、表面に浮く液状の脂と、背脂をミンチにした塊のせいでこってり感も結構強い。

麺は中細ストレートで少加水。（中略）一般的な「尾道ラーメン」は瀬戸内の小魚のダシを加える為に独特の風味があるが、尾道最大の人気店朱華園は鶏ガラにごくわずかの豚骨をブレンドしたスープ。

…そっか、この朱華園、尾道最大の人気店だったんですね！

お昼どきは、行列必至のお店のようです。16時入店で、すぐ座れて味わえたのは、むしろ良かったようです。後輩２、ナイスチョイスでした！

風情ある風景でロケ地として人気の尾道

さて、尾道、映画の舞台としても知られています。

その風情ある町並みがよいと、古くは小津安二郎監督の「東京物語」、私世代に懐かしいのは、当時新人の小林聡美さんのセミヌードや乳もみシーンにのけぞった「転校生」（1882年）、初主演の原田知世さんがめちゃめちゃかわいかった「時をかける少女」（1983年）など。

最近だと、「Nのために」とか「好きな人がいること」のようなドラマでもロケが行われているとか。

ちなみに、「転校生」のころ小林聡美さんは17歳くらい。中身が男の子の設定のとき、胸もあらわにパンツ1枚ではしゃぐ姿は、今なら児童ポルノではないかと「不謹慎」問題がおこりそうです。

が、当時は相手役の尾美としのりさんとともに新人俳優賞を得る高評価。何が「不謹慎」かというのは、その時代時代で、判断がげに難しいところです。

さて、朱華園さんの前は、ノスタルジックな昭和感ある通り。そこに、町家をリノベーションしたおしゃれなカフェやレストランなどのお店が点在していました。

１番の街歩きスポットの通りには時間がなくていけませんでしたが、街歩きしたら楽しそうな印象でした。こういう街に１泊して散策……なんていうのも、贅沢な時間の使い方ですね。

スポット・お店情報

※詳しくはホームページなどでご確認のうえおでかけください

呉市海事歴史科学館（大和ミュージアム）

住所：広島県呉市宝町5番20号

電話：0823-25-3017

開館時間：9：00〜18：00（展示室入館は17：30まで）

休館日：火曜日（火曜日が祝日の場合は翌日休館）※ 4月29日〜5月5日、7月21日〜8月31日、12月29日〜1月3日は無休

観覧料：常設展一般（大学生以上） 500円、高校生 300円、小・中学生200円

朱華園

住所：広島県尾道市十四日元町4-12電話：0848-37-2077

営業時間：11:00〜20:00（スープ・麺がなくなり次第終了）

定休日：木曜日・第3水曜日（祝日の場合営業）